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導入ストーリー
 
◇気が付くとあなたは、不思議な空間にいた。
 真っ白な空の中に浮かぶカラフルな歯車や謎の言葉や数式のようなもの、
 無造作に散らばる用途不明の小さな道具。

◇まるで、おもちゃ箱の中のようなものの中にいるようで、無秩序な風景が広がる。

◇カラフルな積み木でできた小さな丘の上に立てば、そこから建物、街、道路を走る車、作り物の草花が見えた。

???
「——あの!」


◇すると、あなたは誰かから話しかけられた。
 その声は、柔らかい少女の声で、もしかするとどこかで聴いたことがあるような、そうでもないような、そんな感じだった。

???
「もしもし?えっと………こんにちは。ちょうど他に誰かいないか探していたところだったの。」


???
「見て。この街、知ってる街とは全然違うわよね。んー、この場所って前にも見たような……気のせいかしら?」


???
「あっごめんなさい!一人で喋っちゃって。先に自己紹介にするのはどうかしら!」


???
「私はね、『テーラ』って言うの!ふふ、もしかしてどこかで会ったかしらね。」


テーラ


クリーム色の髪をした明るい少女。物知り。本と、カラフルなものが好き。
穏やかな性格で、微笑みながら周囲の出来事を観察している。
興奮すると感情や考えを身振り手振りで表現することがある。




テーラ
「えっとね……どうやら私たちはちょっと不思議な世界に来てしまったみたいだわ。」


テーラ
「少し探し回ったのだけど、外に出る方法が無くて困っていたのよね。どうにかならないかしら?」


テーラ
「見て、この色とりどりな町並み。」


◇話しながら、あなたとテーラは辺りを見渡した。

◇広場には絶えず人がいた。
 柱のそばで声を張り上げている者、石畳に腰を下ろして遠くを見ている者、足早に横切ってそのまま消えていく者。
 それぞれが何かをしているようで、互いにはほとんど干渉していない。
 広場の中央には高い柱が立ち、てっぺんに取り付けられた風車がゆっくりと回り続けていた。
 広場に、風はなかった。

テーラ
「しっかりと賑やかね……。でも、なんだか静かな気もするわ。」


◇ふと、辺りの音が消えた。
 一瞬だけ——広場全体が息をひそめたような、奇妙な間。
 それはほんの数秒で元の喧騒に戻ったが、確かにあった。

テーラ
「……?あ。ねえ、見てこれ。」


◇指を差されるがままに石畳に視線を落とすと、浅く刻まれた文字が目に入った。
 「ト」。
 ひとつ、またひとつ。間隔も向きもまちまちに、石畳のあちこちに刻まれている。
 行き交う人々は誰ひとりそれを気にとめていなかった。

テーラ
「………ト?」


◇テーラが、独り言のように呟いた。
 言ってしまってから自分でも何を言いたかったのか分からないような顔をして、少し首を傾けた。

テーラ
「気のせいかしら。」


テーラ
「そういえば、ここって街の広場みたいね。」


◇そのとき、広場の中央で口上を叫んでいた男が、ふたりに気づいて足を止めた。
 短く刈り上げた白髪に、軍服とも背広ともつかない古風な上着を羽織った初老の男だった。
 胸元のボタンを几帳面に留め、両手を背後で組んでいる。

ベック
「新顔かね。迷い込んだ口か?」


テーラ
「ええ、そうみたいで……。あの、ここはどこですか?」


ベック
ヒューム広場だよ。この街の真ん中の広場さ。」


テーラ
「この街から外へ出る方法って、ご存知ですか?」


ベック
「……知らんな。私もそこそこ長くいるが、出口というものを見た者には会ったことがない。」


◇そう言ってから、男はわずかに目を細めた。

ベック
「焦ることもないだろう。この街は悪いところでもない。困りごとがあれば誰かが助けてくれる。
——因果関係は信じていないが、そうなっているのは確かだ。」


◇答えは期待していなかったが、「やっぱり」と思うと少し胸が重くなった。

ベック
「とはいえ、来たばかりで右も左もわからないのは困るだろう。——これを持っていきなさい。」


◇男はそう言いながら、懐から折り畳まれた小冊子を取り出してこちらへ差し出した。

テーラ
「これは……?」


ベック
「街のリーフレットだ。どこかで拾ったものだが、来たばかりの者に渡す決まりがあるらしい。
書いてあることが正確かどうかは保証しないが、ないよりはましだろう。」


◇受け取って開いてみると、手描きのような地図と各エリアの名前がざっくりと記してあった。
 表題には『ガラクタ街の歩き方』とある。
 最後のページには小さな文字で、「このリーフレットはいかなる機関も発行を認めていません」と書いてあった。

テーラ
「ありがとうございます。……外に出る手がかりが、どこかにあるかもしれないわ。
まずは街を歩いてみるのはどうかしら?」


◇男は「ああ、それが良い」と頷き、広場の奥を顎で指した。

ベック
「迷ったらあの塔を目印にしなさい。あそこは街のどこからでも見える。」


◇指の先、街のほぼ中央に向かって、高い時計塔がそびえているのが見えた。

テーラ
「あなたのお名前は?」


ベック
「——名はベックと言う。どこから来たかはもう覚えていない。」


◇男はそれだけ言って、口上の続きを叫びに広場の中へ戻っていった。
 誰も聞いていないのに、声は広場によく通った。

テーラ
「さて。地図を頼りに、少し歩いてみましょうか。きっと何か見つかるわ。」


◇こうして、あなたとテーラはリーフレットを手に、ガラクタの溢れる見知らぬ街へと踏み出すことにした。

 
 
 
 
(C) Hisagi & CloveR Steps.