導入ストーリー

導入






――あなたが気がついたとき、そこは見慣れない巨大な部屋。
非常に広々とした空間の中に、部屋の壁一面に絵画が飾られている。
そして、中央に一般的な人のサイズの何倍も大きな絵筆がある。

クリム
「あら、気づいたんですね。ようこそ、『童話画廊』へ。」


目の前には、一人の少女と、一人の少年。


クリム


赤ずきんの少女。狼の耳をずきんで隠している。元気いっぱいな性格。


アトラ


猫の耳と尻尾を生やした亜麻色の髪の少年。柔和な性格で礼儀正しい。




クリム
「……と、失礼しました。はじめまして。私はクリムと申します。
 赤ずきんという"物語"として生まれてこの方15年ぐらい生きてます。」

アトラ
「ぼくはアトラです。クリムさんのお手伝いに来ています。」

クリム
「訳あって素質のありそうな方をこの画廊に招集させていただきました。
 もしかするとあなたがここに来るのは初めてではないかもしれませんが。」

クリム
「あっ、大丈夫です!そんなに怖がる必要はないです。
 一応ここ、ちゃんと自由に出入りできるようにはなっているはずなので。」



手帳のようなものを取り出して、あなたに見せた。


クリム
「この手帳は『クリップトラベラー』という一級アーティファクトで、
 世界間渡航が可能になるアイテムです。」

クリム
「これを使ってあなたをここへ招待しました。」

クリム
「このとても広い館は『童話画廊』といいます。
 とても大きなアトリエ兼ギャラリーを中心にした施設
 ……みたいなものでしょうか。」

クリム
「おとぎ話や噂話など、人が描き、創り出した
 "物語"という存在そのものが実体を伴ってこの世界に滞在したり
 それぞれの世界へと移動することができるみたいです。」

クリム
「それ以外のことは私もそれほどわからないのですけど、
 この広いホールから無数の通路や部屋に通じていて、
 暮らしていく分には困らないぐらいなんでも充実しているようです。」

アトラ
「きっと、いろいろな”物語”がまるごと実体化しているから、ですかね。」

クリム
「そしてここはもちろん画廊なので、
 たくさん絵が飾られているみたいです。」

クリム
「もしよかったら、私やアトラさんに聞いてくれれば案内します。」

アトラ
「クリムさんほど詳しくはないですけれど、
 ぼくで良ければ、よろしくお願いしますね。」



あなたに軽く会釈をした。


クリム
「さて……、ここに招き入れた理由ですが。
 この画廊は地下深くに向かってたくさん通路が伸びているようなのですが、
 潜れば潜るほど世界の存在が不安定で、
 この世界に順応するエネルギーを集めないと先に行けないみたいです。」

クリム
「この地下深くに潜れば見つかると信じている、
 "あるもの"を探しに、私はここにやってきました。
 そこで、あなたに地下へ潜っていくためにこのエネルギー集めを
 一緒に協力していただけないかと思って呼んでみたんです。」

クリム
「その"あるもの"というのは、
 ずばり、私という"物語"を生み出した方の手がかりのことです。」

クリム
「自分という物語が誰々の手によって考えられ、
 創り出されたのか知らない方も少なくはありません。
 私もその中の一人です。」

アトラ
「”物語”の中の登場人物が、
 創作者を知って実際に会うって、
 にわかには想像できないですからね。」

クリム
「ずっとわからないままでも良いことなのかもしれません。
 でも、私はなんだかとても興味があって、知りたいんです。」

クリム
「だからあなたの手を借りたいと思いました!
 えへへ、よろしくお願いしますね。」



軽く振り向き、背面にあった巨大な絵筆が目に収まるようにした。


クリム
「この絵筆は、詳しいことはあまりわかっていませんが、
 一説によれば特級アーティファクト『フェアリーテイルスケッチ』
 と呼ばれる非常に珍しいアイテムみたいです。」



手をかざすと同じ形の手に持てるぐらいの大きさの絵筆が登場する。
それをあなたに差し出した。


クリム
「このようにこの世界では子機のようなものにして持って歩けるんです。
 これはあなたに差し上げます。」

クリム
「このアーティファクトは、
 『描いたものをなんでも実体化することができる』という
 まるで魔法のようなことができます。
 ただ、『自分が知らないこと』は実体化できないみたいです。」

アトラ
「何かを使いたければ、見た目だけじゃなくて、
 それがどういうものかを分かってる必要があるんですね。」

クリム
「そしてもう一つ、
 『自分がなにか見聞きして得た感情をエネルギーにして、
 絵画として描き保存することができる』という機能も備えています。」

クリム
「そのエネルギーこそが、
 この画廊の地下深くに潜っていくために
 必要なエネルギーになります。」

クリム
「慣れるまで大変かもしれませんが、
 よかったら、付き合ってくれると嬉しいです。」

アトラ
「よろしくお願いします。」










 
 
 
 
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