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ENo.311 堅約のジンクム
プロフィール
名前:ジンクム
出身:銀縁都市ルーダ・デンダ
魔法が栄える世界の魔法学院に寄贈されていたゴーレム。異世界へ飛び出した女生徒を追いかける形で、共に異世界を訪れている。
ジンクムの造物主は、かつてその地に都市国家を築いた初代元首であった。当時、まだ都市も存在せず、幾つかの集落があるだけの大地には無数の魔獣が跋扈していた。造物主である男がジンクムという名を授かるゴーレムを造り出したのは、集落を守る目的であったとされている。
製造技術も確立していない時代に造られたジンクムは、使い切りのゴーレムであったとされる。だが、ジンクムの造物主であった男は当個体を消耗品として見做さなかった。なぜ彼はそうしたのか、当時の過酷な環境下での運用体制や、根付いていた慣習に因るものであるなど、幾つかの説に基づく論文が発表されているが、未だその真相は解明されていない。
いずれにせよ、ジンクムはその集落に住まう人を守り続けたゴーレムであった。その地に都市国家が築かれるまで、黎明期を支えた守護者であったことは疑いようがない。そうして月日は流れ、魔法や錬金術が発展するにつれて人々は抗う力を身に着けていき、古き時代のゴーレムはその役目を終えさせられる事となった。
動乱の時代が終わり、魔法と学問が文明を支える現代のこと──
防備の任を解かれたジンクムは歴史的遺物として魔法院に寄贈されていた。飾り柵の向こう側を走り回る若き生徒達は誰もジンクムのことを知りはしない。けれどジンクムにとっては、彼等は守るべき民であることを理解していた。
何度が展示スペースを移し替えられ、錬金学科の工房という場所に安置されてからも、飾り柵越しに見える光景に変わりはない。明日を目指す若き民達が、今日も賑やかな生活を送っている。そんな民の中には、かつての主の血脈を継いだ少女がいることも、ジンクムは正しく認識できていた。
そんなある日の深夜。
少女が何やらひどく切羽詰まった様子で、工房内へ駆けこんで来るのが見えた。彼女はなにやら最低限の荷物を持つと、若き民達が組み立てた門の向こう側へと"避難"していった。この学院へ待機を命じられてから一度も確認したことのない、異常な行動。
門の向こう側には、あらゆる機能を駆使しても解析不明な異常空間が広がっていることは把握している。解析不明な空間は、人が生命活動可能であることすら判別できない。そんな門の向こう側へ少女は進んで飛び込んでいったのだ。目撃した光景を分析して、ジンクムは1つの結論を導き出す。
──守るべきものを、守れ。
それはかつて、主に下された命令だったのだろうか。はたまた長年コアに蓄積された記録に因るものだったのだろうか。直後、工房に安置されていた古きゴーレムはひとりでに動き出した。守護すべき対象をあの少女へと更新して、搭載された思考回路を巡るままに、行動を開始する。
かくしてジンクムは、門の向こう側へ消えた錬金術師の少女を守るために、異世界を歩む旅路を進み始めた。
PL・絵:yuufo
出身:銀縁都市ルーダ・デンダ
魔法が栄える世界の魔法学院に寄贈されていたゴーレム。異世界へ飛び出した女生徒を追いかける形で、共に異世界を訪れている。
ジンクムの造物主は、かつてその地に都市国家を築いた初代元首であった。当時、まだ都市も存在せず、幾つかの集落があるだけの大地には無数の魔獣が跋扈していた。造物主である男がジンクムという名を授かるゴーレムを造り出したのは、集落を守る目的であったとされている。
製造技術も確立していない時代に造られたジンクムは、使い切りのゴーレムであったとされる。だが、ジンクムの造物主であった男は当個体を消耗品として見做さなかった。なぜ彼はそうしたのか、当時の過酷な環境下での運用体制や、根付いていた慣習に因るものであるなど、幾つかの説に基づく論文が発表されているが、未だその真相は解明されていない。
いずれにせよ、ジンクムはその集落に住まう人を守り続けたゴーレムであった。その地に都市国家が築かれるまで、黎明期を支えた守護者であったことは疑いようがない。そうして月日は流れ、魔法や錬金術が発展するにつれて人々は抗う力を身に着けていき、古き時代のゴーレムはその役目を終えさせられる事となった。
動乱の時代が終わり、魔法と学問が文明を支える現代のこと──
防備の任を解かれたジンクムは歴史的遺物として魔法院に寄贈されていた。飾り柵の向こう側を走り回る若き生徒達は誰もジンクムのことを知りはしない。けれどジンクムにとっては、彼等は守るべき民であることを理解していた。
何度が展示スペースを移し替えられ、錬金学科の工房という場所に安置されてからも、飾り柵越しに見える光景に変わりはない。明日を目指す若き民達が、今日も賑やかな生活を送っている。そんな民の中には、かつての主の血脈を継いだ少女がいることも、ジンクムは正しく認識できていた。
そんなある日の深夜。
少女が何やらひどく切羽詰まった様子で、工房内へ駆けこんで来るのが見えた。彼女はなにやら最低限の荷物を持つと、若き民達が組み立てた門の向こう側へと"避難"していった。この学院へ待機を命じられてから一度も確認したことのない、異常な行動。
門の向こう側には、あらゆる機能を駆使しても解析不明な異常空間が広がっていることは把握している。解析不明な空間は、人が生命活動可能であることすら判別できない。そんな門の向こう側へ少女は進んで飛び込んでいったのだ。目撃した光景を分析して、ジンクムは1つの結論を導き出す。
──守るべきものを、守れ。
それはかつて、主に下された命令だったのだろうか。はたまた長年コアに蓄積された記録に因るものだったのだろうか。直後、工房に安置されていた古きゴーレムはひとりでに動き出した。守護すべき対象をあの少女へと更新して、搭載された思考回路を巡るままに、行動を開始する。
かくしてジンクムは、門の向こう側へ消えた錬金術師の少女を守るために、異世界を歩む旅路を進み始めた。
冒険中の記録
・白昼の大通り(https://soraniwa.428.st/toybox/result/52468_309.html)PL・絵:yuufo
(C) Hisagi & CloveR Steps.