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ENo.11 向日葵の旗持ち

プロフィール
夏の葬列はなにかを野辺に送るために。
「風化という言葉があります」
「形あるものが崩れて吹き飛ばされて、その場に何もなくなることです」
「風になるわけじゃないんですよね」
「でも、なれたらいいなって思いませんか?」
「風に」
「通夜や告別は生きる人のためにこそ行われる儀式で……」
「あたしはひとりで、何度もやってきました」
「なにも、なくなったことを悼むのは、形あるものに対してだけではないということです」
「祈りの形はさまざまで……」
「手を合わせる、目を閉じて思いを馳せる、大きな火を焚いて踊る……習慣によってさまざまですよね」
「あたしの場合は、詩にすること」
「『そよ風』って言葉があるじゃないですか」
「類語を検索したら、『微風』と出てきました。
なんか……そうだけど、そうじゃないですよね」
「『そよ風』にあって『微風』にない、やさしく快い感覚――そういったものを詩情と呼びます」
「だからあたしは意味を込めます。大勢に理解されなくとも、深く祈るために」
夏の葬列はなにかを野辺に送るために。

「風化という言葉があります」

「形あるものが崩れて吹き飛ばされて、その場に何もなくなることです」

「風になるわけじゃないんですよね」

「でも、なれたらいいなって思いませんか?」

「風に」

「通夜や告別は生きる人のためにこそ行われる儀式で……」

「あたしはひとりで、何度もやってきました」

「なにも、なくなったことを悼むのは、形あるものに対してだけではないということです」

「祈りの形はさまざまで……」

「手を合わせる、目を閉じて思いを馳せる、大きな火を焚いて踊る……習慣によってさまざまですよね」

「あたしの場合は、詩にすること」

「『そよ風』って言葉があるじゃないですか」

「類語を検索したら、『微風』と出てきました。
なんか……そうだけど、そうじゃないですよね」

「『そよ風』にあって『微風』にない、やさしく快い感覚――そういったものを詩情と呼びます」

「だからあたしは意味を込めます。大勢に理解されなくとも、深く祈るために」
(C) Hisagi & CloveR Steps.