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>>アヤノ#527390
ぐや 「あ、あと、ポラリスで買い物とかもいいですね……あの、路地を入ったところに、すてきな喫茶店があって……そこで売っているケーキがすごくかわいくてですね、それこそ宝石みたいで……アヤノさんは甘いのお好きですかっ……あ、実際に食べるわけではないんですけども……っ」 うれしくてついつい話しかけてしまったり、でもまだ友達になったばかりで距離が近すぎるかしらと、ハッと離れたり……まだまだぎこちないぐやでした。
>>アヤノ#527390
ぐや 「は……はいっ! な、なんでも頼ってくださいねっ…… ゲームのことなら、なんでも……っ」 ぴょんぴょんとジャンプしますが、ぴたりと止まりました。 「あ、でも、その、ネトゲ歴が長いだけで、スーパープレイヤーというわけではないのですけども…… むしろ、アヤノさんがゲームの仕様を理解していったら、それこそスーパープレイヤーになりそうです、ね…… と、とりあえず、な、何しましょうか……っ。 おおかみ座に行ってモンスター退治とか……あっ、でもこれいつもやってることですね……あ、でもでも、おおかみ座のモンスターがすごいレアドロップするらしいんですよっ。 なんでも、宝石を落とすんだとか……アヤノさん、宝石とかお好きですっ?」 ▼
>>ロウ#524721
ぐや 「えへへ、うれしくていっぱい撮っちゃいました! ロウさんはお写真、もうだいじょうぶそうですか?」 ウサも首を傾げながらロウさんを見ています。ばっちり~?と聞きたいのかもしれません。
>>ロウ#524721
ぐや ロウさんがぐやの近くに来てくれたおかげで、ウサはお望み通り、ぐやの肩の上とロウさんの肩の上、半分ずつ乗ることができました。 「~♪」 ここなら二人と一緒に映ることができる、と思ってご満悦のようです。 「ウサ、真ん中のいい場所見つけたねえ……はいっ、私もばっちりです! 撮りますよ~!」 視点を調整して、3人が一緒にウィンドウに収まるようにして…… アップで撮ったり、店の屋根が入るように『引き』で撮ったり、せっかくなので斜めの角度から撮ったり、ちょっと下のアングルから撮ったり、やや上のアングルから撮ったりもしました。 だって、ぐやのにんじんダイヤも、ロウさんの盾形のピンクダイヤも、どの角度から撮ってもきらきらしていますし、 そのダイヤを身につけたぐやも、ロウさんも、ウサも、とってもうれしそうで、何枚でも撮りたくなってしまうのです。 ▼
>>アヤノ#524088
ぐや アヤノさんの言葉を思い出します。 “現実でできぬことを、げぇむの中だからできるようになるわけではない……” そんなことないんです、そんなことないんですよう、とぐやは首を振りました。 「友達、ですから、リアルでできないこと、も……ネットでできることって、ありますから……いっぱい……そう、いっぱいですっ」 例えば、友達の手を握ることだって。リアルのぐやなら、恐縮してしまってとてもできないことです。 でも、ここならできた。 差し出してくれたアヤノさんの手を握り返すことができました。 「なので……いっぱい遊んで、いっぱいお話、しましょ……っ! ……も、もしよかったら……です、けど……もごもご……」 最後に自信がなくなってしまうのがぐやなのでした。
>>アヤノ#524088
ぐや 「……そ、そうですよね、いきなり友達だなんて、困っちゃいますよね……今のは、聞かなかったことに…… …………え? え……っ!」 早とちりして、勝手にもうダメだと思っていたぐやは、モニタの前で俯いてしまっていたのですが、アヤノさんの言葉に、ばっと顔を上げました。 「あ、わっ、あっ、アヤノさん………あ、ありがとうございますっ……!」 目の前のアヤノさんは手を差し出してくれていました。 嬉しさと感激でどきどきしながら、慎重にアヤノさんのてにぐやの手を重ねて――握手をします。 「わ、私、あの、アヤノさんとは、その、画面の向こうの人間で、遠いかも……いえ、物理的には、実際に遠いところにいるんだと思います、けど…… で、でも、と……友達、ですから……!」 ▼
>>ロウ#523873
ぐや めいっぱい拍手をしてから、ピンクダイヤを身につけたロウさんを様々な角度で見つめていたぐやですが、ハッと思いついたように動きを止めました。 「ロウさんっ、せっかくですから写真撮りましょう、スクリーンショットっ。 ここで二人で作ったんだよ~ってことがわかるように、お店の前でっ」 《蒼穹に響く金槌亭》の青い屋根の下に二人で並ぶと、ぐやの肩の上のウサは、ロウさんを手招きするように前足をムニムニと振ります。 もう少し近くに来てほしいみたいです。 どうやら、ぐやの肩と、ロウさんの肩に半分ずつ乗って写真(スクリーンショット)に写りたいようですね。
>>ロウ#523873
ぐや 「わあっ……! ロウさんもすごくすごく似合ってますよう!」 鎧を脱いでかわいらしい少女のアバターになっているロウさんの胸元に輝くピンクのダイヤ。 分類としてはネックレスやペンダントになるのでしょうけれど、緊張しつつもどこか誇らしげに身につけたロウさんを見ていると、まるでスポーツ大会のメダルや、勲章のようにも見えてくるのでした。 格好いいのと、きれいなのと、両方ですね!とぐやは思いました。 ロウさんの手の中にあるときは『盾』の印象が強かったのですが、こうしてペンダントのように胸元にあると、ダイヤの、装飾としての美しさも際立ちます。 ロウさんのブラウンの髪を、ピンクのきらめきがヒラヒラと照らします。 髪が揺れるたびにその光が弾けて、ふんわりとした柔らかさが引き立つのでした。 ▼
>>ロウ#522782
ぐや シュミレーションルームでのベヒモスとの戦いのことだけではありません。 このステラボードを始めて、自分達の力でおおかみ座まで到達しました。 ゲームは楽しんでやるものですけれど、楽しむためにがんばったのも事実だとぐやは思います。 人参型のダイヤを首から提げます。ちょうどいい長さ。 ウサにも装備させてあげました。 鎖が消えて、胸元に触れるか触れないかあたりのところで浮いています(ペットに装備させるとこうなるのね……邪魔にならなそうでよかった、と納得です)。 お揃いのダイヤを身に着けて、ロウさんににっこりとお披露目しながら頷きます。 「ここまで来られたことへのお祝いだと思って、受け取っちゃいましょう〜!」
>>ロウ#522782
ぐや 「わあっ! ほんとうですね……! 原石のときもきれいでしたけど、こうして職人さんに加工してもらうと、また一段ときれい…… 宝石のカットって、ただきれいなだけじゃなくて、宝石が光を集めやすいように計算されてるって聞いたことがありますけど……この盾の輝きを見るとそれも納得ですね…… ほんとにきれい……」 ロウさんの手の中のダイヤの盾を見てぐやはうっとりとつぶやきました。 そして、ロウさんを見て続けます。 「私も、人参ダイヤが想像していたよりもずっとすてきでびっくりしちゃいましたけど……もらって、いいも思いますっ。 だって、私たち、すごーくがんばりましたものねっ」 ▼ |
>>アヤノ#522619
ぐや 「は、はいっ……アヤノさんに、お話が、あり、ます……っ」 ぐやは一度立って、座り直しました。 アヤノさんの隣から50cmくらい離れて、アヤノさんに向かって正座をしました。 一度、二度……三度、深呼吸をしてから、ゆっくりと口を開きます。 「……あ、アヤノさん……っ! わ、わた、わた……私と、と……ともだち……そう、友達に、なってくださいません、か……っ」 なんとか……ほんとうに、なんとか言い終えた後、ぐやは緊張でまともにモニタが、アヤノさんが見られませんでした。 理想としては、もっと自然に言うはずだったのです。 だってたぶん、友達になるのって、ふつうは、一般的には、もっと自然と、サラッと……それこそ言葉だっていらないくらいだと思いますから。 でもぐやは、そういう、一般的で、ふつうの、友達のなり方、なってもらい方がわかりません。 だからこんな、ぎこちなくて、重い感じの、お願いのような言い方になってしまうのでした。
>>アヤノ#522619
ぐや アヤノさんの後についてやってきたのは、古い社のような場所でした。 網目のように伸びるツルやツタで崩れかけているのは確かですが、同時に、この植物がなければ完全に崩れさっていただろうという感じもします。 建物の崩壊と、植物の成長。プログラミングされたものではあることはわかっていますが、こうして、誰も見ないところでふたつの要素のバランスが成り立っていることが小さな奇跡のように思えるのでした。 「お、おじゃまします……」 社の軒下。一度おじぎをしてからアヤノさんの隣に腰掛けました。 ほ……と、小さく息が漏れます。実際に石段を登ってきたわけではないですけれど。 軒下から見上げるりゅう座の空は、眩しすぎることがなく、なんだかしみじみとした静けさがあっていいなあ、と思いました。 ▼
>>ロウ#522209
ぐや あなたがこの光の理由を尋ねれば、店主はゆっくりと説明してくれます。 『盾』の立体としての奥行きがこの光を産んでいるのだと。 周りの光を吸収し、内部で複雑に反射させて放つようにカットされているのだと。 カットとは、ただ形を整えるためだけではなく、周りの光を集め、増幅させることによって、『盾』となったダイヤが最も自分らしく輝くための加工なのです。 盾になったピンクダイヤの『自分らしさ』……それはロウさんのように凛々しく、力強く、その上でやさしく、周りを暖かくしてくれる輝きです。 「……ど、どうですか……っ?」 ロウさんの後ろから、ぐやはどきどきした様子で話しかけます。
>>ロウ#522209
--- 店主がロウさんに差し出したダイヤは、注文通り、『守護』のアイコンの形そっくりに加工されていました。 丈夫が尖っていて、下部が丸い盾の形。 そして、二次元のイラストであるところのアイコンをダイヤという三次元の立体にしたことで、予想していない効果が生まれました。 なんと、正面から見た『盾』はまばゆく光を放っていたのです。 ▼
>>ロウ#521361
ぐや そしてロウさんと言えばまさに『守護』なのです。 盾を構え、自分を守り、仲間を護るその姿……ダイヤを盾の形に加工するというのは、ほんとうにロウさんにぴったりだろうなと思いました。 ロウさんの問いかけに、ドワーフの店主はいいとも、と答えました。 それからドワーフはカウンターの奥に引っ込み……やはりあっという間に戻ってきました。 そこでぐやは、ロウさんから、楽しそうに、そしてさりげなく距離を撮りました。 いちばん最初に出来上がりを見るのは、ロウさんひとりで見せてあげたいと思ったのです。 ベヒモスとの戦闘は、ぐやも一緒にがんばりましたが、ピンクのダイヤはロウさんのものですからね。
>>ロウ#521361
ぐや ぐやの手の上にあるにんじんダイヤが気になって仕方ないのか、ウサはぐやの肩の上から前足をチョイチョイと伸ばして触りたがっています。 「ちょっと待ってね、ウサ。ロウさんのダイヤの加工が終わったら、一緒につけようね」 ウサをなだめつつロウさんに視線を移します。 「盾の形、すっごくいいと思います! 守護タイプ、ロウさんにすごく合ってるタイプですもんねっ」 ぐやもロウさんの守護の力に何度も何度も助けてもらいました。 『このひとと言えばこのタイプ』というようなイメージにぐやは憧れています。 そのひとが、そのタイプの特性を使いこなしているようなイメージがあるからです。 ▼
>>ロウ#519748
ぐや だいぶデフォルメされた感じの丸いニンジンの形です。 いくつもの平面で構成されていて、オレンジ色……いえ、ニンジン色にきらきらと輝いています。 葉にあたる部分にはつやつやした緑色の金具がついていて、そこから白に近い銀色の鎖が伸びています。 「ちゃんと首にかける鎖までついてるんですよう! えへへ……あっ、お話の途中でしたねっ。ロウさんはダイヤ、どうされるか決まりました……?」
>>ロウ#519748
ぐや 「そうそう、ロウさんはご自身のダイヤ、どうすることにしま――」 します?……と話しかけた瞬間に、ドワーフの店主は奥から戻ってきました。 オレンジ色のダイヤの加工が終わったようです。 実際にダイヤのカットをしたらおそらく何日も何日もかかるのでしょうが、そこはゲーム内のことですからね。 「あっ、ちょっと待ってくださいねっ……わああ、きれい……! ありがとうございます、すっごくすてきです!」 店主におじぎをしてから、ロウさんに振り返ります。 「ほら、ロウさん見てくださいっ。ちゃあんとニンジンの形ですよっ」 ▼
>>アヤノ#520342
ぐや 「こういう場所もあったんですねえ……」 初めてこの星座を攻略した際にはそれなりにマッピングをしましたが、それでも広いりゅう座の全てを踏破できたわけではありません。 アヤノさんにこうして連れてきてもらわなければ、この石段やその周りの景色を知らないままこのゲームをクリアしてしまっていたかもしれません。 「私……アヤノさんと知り合えてよかったです。 りゅう座が好きなのが私だけじゃないって思えましたし、それに、ここの景色も……静かで、落ち着いていて…… アヤノさんとこうやって一緒に歩いてるからこそ、知ることができたんだって思いますから……」
>>アヤノ#520342
ぐや 「そう、そうなんですよね…… 他のプレイヤーさんがたくさんいらっしゃるのは賑やかで、さみしくなくて、それはすごくありがたいことなんですけど…… それと同時に、人目のつかないところでゆっくりしたいな、と思うこともあって…… そのときの気分によっても変わってくる、というか…… 今日はしばらくのんびりしてようかな、みたいな……」 アヤノさんは石段を上がっていきます。ぐやも後からついていきます。 自然の中から覗く建物は、どことなく和を感じるような……ところどころ傷んでいますが、それがまた侘び寂びを感じる気もして。 ▼ |
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