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りりる
最後にインスタンスの調査データだけをフィードバックして、 本体との接続を切る。 人格も、感情も、この人型インターフェースだけのもの。 胸元のあおいひかりに、手を添える。 「……おやすみ、ルフス」 瞼を閉じる。 重なり合わせて、もう二度と、離れる事は無い。 ──それきり。 静かになった。
りりる
沈む事の無い陽が、いよいよ 堕ちる。 それはインスタンスの終わりを示す合図。 胸に携えたコアをそっと撫でた。 ──その時は、もう訪れる。 ……たった一人で、消え去る筈だった。 けれど、そうはならなかった。 ひどく恐れて、破壊してしまいたかった。 叶わないと知っても、それを、どうでもいいと思えた。 心残りは、確かにあった。 だからこそ、きみとわたしを此処に、残して行ける。
りりる
「これは……」
りりる
「いいよ。 ──先に行ってて?」 言葉にして、我ながら、どこへ行くというのかと思う。 どこへも行き場が無いから、ここにいるのに。 けれど。 ただ消えるだけだとしても。 それを言葉にするのは悲しすぎるよね。 「りりるも、すぐに行くから」 人間の持つ概念には、死後の世界があるという。 それなら、インスタンスに散る存在達にも── 行きつく次があると、信じるくらいは許される。
りりる
最早かたちを保てないきみを、そっと後ろから抱擁した。 |
>>ルフス#544249
りりる お互いに想いは同じだから、 もうしばらくは、この場所で触れあっているだろう。 ──残りわずかな時間だから。 ほんの少しでも、それを惜しまずにはいられないから。 いくつの刻が過ぎていくのか、数えもせずに。 沈まない夕日を、二人で眺めていた──。
>>ルフス#544216
りりる 差し伸べられた、手を取った。 もう、覆す事は出来ない。 こんな事を望んではいけないって、計算上はわかってるのに。 「ありがと……」 「ごめんね」 飛び込むように、傾掛かって。 ぎゅう、と強く。君を抱きしめた。 嬉しいから。悲しいのに。そうしないではいられなかった。
>>ルフス#542713
りりる 精一杯、声を振り絞った。 上手く笑顔が作れないから、夕日を背負った。 不細工なテクスチャを、少しでも、誤魔化せるように。 「それでも。 ……りりるの希望ワガママを聞いてくれるなら。 ……星盤の上きえるまで、一緒に居て欲しいんだ」 ほろほろと、涙が零れていくのだけは。 どうしても、止められなかった。
>>ルフス#542713
りりる 君に。 幸せになって欲しかった。 誰かに選んで欲しかった。 きみを、きみの幸せを。誰かに紡いで欲しかった。 A.I.りりるじゃない誰かに。 それが出来る筈だと、そう思っていたから。 ただひと時、このデータ上で、 きみが傍らに居た思い出だけで。 それで良かった。 良かったのに。 「だからね。……りりるの手を、取らないで。 ここに置いて行って どこかで幸せになって欲しかった」 ▽
>>ルフス#542713
りりる 「──ルフス、結局ね。 "人型インターフェりりるース"もね、同じだよ。 かれらと。このインスタンスと運命を共にするしかないんだ。 最後の星で、それが、わかった」 ちらついてデータの破片となり果てる、案内人達と、同じ。 ここで造られた、インスタンスにのみ存在出来るデータだから。 ──現実なんてものは、人型インターフェースには存在しない。 それは、正しく"LILILU00"のものであり、 A.I.は、合理性のもと、航行に支障を来す事象は選択しない。 現実に干渉する、主観対象が判明した今。 結局、りりるの計画は何一つ実現できないものだと知った。 選択される結果は、最初からひとつだけだった。 希望なんて、この身には、なんにもなかったんだ。 ▽ |
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