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エベちゃん
「…」 「滅ぼされた無念に対しての」 「…」 「復讐?」 ──戦う力もフィードバック! 私の金属板は、いくらでも増える金属板となりました。 無限に! 戦うためのウェポンがそれなのです。 金属板だらけの宇宙。 なにか、小さな漣を立てることは可能ですか? もはや帰るだけ。 いつまでも本来の嘆きを見失っていて、結局着くのは最終番らしい。 それでは。
エベちゃん
「…………」 「わたしは、“生き返りました”」 「人の体を手に入れるとは、つまりそう言うことで」 「しかしこの金属板を持ったままなら、役目も失わないままなのでしょう」 「わたくしがどれほどフィードバックを現実に行われるかは存じ上げませんが」 「はて」 ログアウトを押すことに躊躇は無くなった。 ひとりぼっちの、ひと。 母星はとっくの昔、別の生物に滅ぼされたのだ。 そう思っている。そう思っている。 ──しなくてはいけないこと。 遠くまで旅をして、果てにたどり着いたそれが行うこと。 人の代行者である。 それは? 「………」
エベちゃん
「……………」 「これだけでいい。これだけでいい。これ以外わかりません」 見通し、立たず。 少女の足取りはふわついていて、一見すれば迷子のようで、その実迷子だった。 何にも辿り着けず、ただ周回を続けている。 おうふくうんどうのはて。 吊り下げられたカゴの線。 「……………」 「わたくしは、わたくしの見た目と、私の体を持って帰れるのでしょう」 「無問題です。それ以上、持ち帰るものもない」
エベちゃん
「………」 考える。考える。考える。 ヒューマンを助けなければならなかった。 支配者が支配しているのだろうあの星を。 すっかり小さくなってしまった母星の姿を思い出せば、胸を引き裂くような痛みが走っていった。 自分本位なものには気が付いていない。 私の意味を無くさないで。 私の空を返して。 「……だから、」 「あとは、力が、欲しい、なんて、それは変ですけど」 私には、私の報いが欲しい。 褒めてもらいたい。 褒めてもらいたい。 頑張ったって、 「……」 「使ってきたゲームスキルを、持ち帰りたい」
エベちゃん
「…………」 「持ち帰り品」 フィードバック。ずいぶんと甘やかされています。 この世界のもの。何を持って帰りましょう。 「…」 「…これは、欲しい」 金属板。一枚を空中に生んで。 ぼんやりとながめた。 炎の赤が映るそれを。
エベちゃん
「………」 とん、と。 音もなく降り立てば、炎に包まれた道を、とったっ、と、と歩いた後。 そこら辺に座り込んだ。 くつ、くつ。 くつ。 沸上がるような炎を、眺めていた。 立ち上がる熱の息を、肌に直接感じて、目を細めた。 それは微笑むようではなく。 この場に似合わない、冷めたように。 |
エベちゃん
「……」 「わたくしの、手で、手を、」 下している。 ここは現実ではなくてゲーム。データはここから消えただけ。 ここはただの星空の果て。戻るべき場所がある。 手を下す。 「……………」 ぼうっと。 立ち尽くして、眺めていた。 終端を。
エベちゃん
「………おしまい。おわり。終了」 「わたくしのチャレンジもここまでと相成ります」 「さようならのエピローグ。文章とお別れの時間だけがすぎていくのでしょう」 「…」 「わたくしの、手で」 自分の手を眺めて、押し込んだ文字のことを、思った。
エベちゃん
「…………」 「………………」 果てまでたどり着いたら、戻るようにと定められていたのです。 何にもない、冷たい、孤独な旅もおしまいでした。 それを感じ出したのは途中からで、それほど厄介なものはなく。 果てには希望があるのだと思っていましたが、それは虚無のようでした。 ──帰った先は、
エベちゃん
「…………」 「わたくしの旅に、意味などなかった」 アルデバランがなかったように。 いみがないことでした。 現実の自分の旅も、全く意味がないものでした。 確かに、星に情報を送り続けていました。 毎日のように私のカメラは星々を捉えていました。 アルデバランの横を通過し、さらに先へと進んでいきました。 確かに果てを見ました。 はては、つめたくて、ひらべったくて、何にもなくて。 ただただ、縦横無尽に、広がっていく、端っこ。
エベちゃん
いって、かえって、往復して。 昇降機は上と下にしか動きません。 横になんて動きはせず、ある程度決められた動きしかできませんでした。 わたくしはだのに彷徨うようにして、ワープポイントを行き交います。 果てを見たら帰らなければならない。 始まりから、果てまで。
エベちゃん
「……………」 はじめの土地に降り立ち、最後の果てに降り立つ。 ワープ・ポイントは便利なもので、それを何度も繰り返してきました。 果てに到達する旅は、こんなにも簡単に繰り返すことが可能でした。 人の叡智のおかげでしょう。 システム化されて最適化されています。
エベちゃん
「………違う」 「二度目の果てを見ているだけ」 「…………」 「どこにだって、果てはあるの」 「──果てを見たら、帰らなければいけない」 瞼を閉じました。 忘れたふりをしていました。ふりをしていることを忘れていました。 アルデバランはどこにもありません。ここにはありません。 なのに、ここには果てがある。 頭がぐらぐらしますが、同時に冷たい水を浴びたようにすっきりとしました。 ただ、遠くをみました。
エベちゃん
「───」 「してない」 「わたくしのアルデバランは、ここにはない」 「本来広かった宇宙は、どこまでも狭い」 「わたくしのアルデバランは、わたくしの、アルデバランは、」 「ああ、」 「どこにも──」 果てに到達できない。 果てを見られない。 |
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