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エベちゃん
「…………」 「………………」 果てまでたどり着いたら、戻るようにと定められていたのです。 何にもない、冷たい、孤独な旅もおしまいでした。 それを感じ出したのは途中からで、それほど厄介なものはなく。 果てには希望があるのだと思っていましたが、それは虚無のようでした。 ──帰った先は、
エベちゃん
「…………」 「わたくしの旅に、意味などなかった」 アルデバランがなかったように。 いみがないことでした。 現実の自分の旅も、全く意味がないものでした。 確かに、星に情報を送り続けていました。 毎日のように私のカメラは星々を捉えていました。 アルデバランの横を通過し、さらに先へと進んでいきました。 確かに果てを見ました。 はては、つめたくて、ひらべったくて、何にもなくて。 ただただ、縦横無尽に、広がっていく、端っこ。
エベちゃん
いって、かえって、往復して。 昇降機は上と下にしか動きません。 横になんて動きはせず、ある程度決められた動きしかできませんでした。 わたくしはだのに彷徨うようにして、ワープポイントを行き交います。 果てを見たら帰らなければならない。 始まりから、果てまで。
エベちゃん
「……………」 はじめの土地に降り立ち、最後の果てに降り立つ。 ワープ・ポイントは便利なもので、それを何度も繰り返してきました。 果てに到達する旅は、こんなにも簡単に繰り返すことが可能でした。 人の叡智のおかげでしょう。 システム化されて最適化されています。
エベちゃん
「………違う」 「二度目の果てを見ているだけ」 「…………」 「どこにだって、果てはあるの」 「──果てを見たら、帰らなければいけない」 瞼を閉じました。 忘れたふりをしていました。ふりをしていることを忘れていました。 アルデバランはどこにもありません。ここにはありません。 なのに、ここには果てがある。 頭がぐらぐらしますが、同時に冷たい水を浴びたようにすっきりとしました。 ただ、遠くをみました。
エベちゃん
「───」 「してない」 「わたくしのアルデバランは、ここにはない」 「本来広かった宇宙は、どこまでも狭い」 「わたくしのアルデバランは、わたくしの、アルデバランは、」 「ああ、」 「どこにも──」 果てに到達できない。 果てを見られない。
エベちゃん
「揺り返しのように4位でございます」 |
>>ガトネ#469372
エベちゃん そうです、と縦に頷いた。 当てもなく、方法もわからない。 この世界にはないのだから、叶うはずもない。 目標がない、ということは、具体策も持たず。 虚無。 「…」 「それも忘れてしまったのかもしれません」 志す誰かもおらず、孤独を抱きしめ、進んでいる。 人ならば折れてしまっても、これは折れずに、進み続けていたということは、事実として受け止め。 「…」 「わたくしは、人ではないのかもしれませんね」 抗わないのだ。痛い孤独も。冷たい温度も。何も。
エベちゃん
「…………」 「ここが、最果て──」 金属的で、人工的で、そんな感じの果てだった。 最果てが人工的なのに落胆している。 自然なものを求めていたが。 「…」 「ゲームですもの」 ゲームだものな。 「…」 「似ている」 ただ、そんな感覚が付き纏って、それを呟いた。 なにに似ているか知らず、何に似たを覚えたかも知らない。 似ているのだ。ただ。 寒い。 |
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