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>>Estella#572225
ギンカ 「あんたがいろんなやつと話して、楽しかったらいいって、単にそう思うんだよ。 いい音楽がいっぱいあんだぜ。俺の曲以外にも」 あっけらかんと笑って。 「また会ったらその話する?」 「じゃあな、Estella」
>>ギンカ#572088
ギンカ 明けかかる空を見上げて、ほっと息を吐く。 「こんなもんか」 ……この夏。この年で。日本どころか、地球を離れることになるとは思ってもみなかった。 ま、音楽さえできれば、どこでも生きていけるだろう。 澄んだ空気が明るい。新しいことを始める時の昂奮と冒険心。 色々あったが、何しろ青年は、実はけっこう楽天家だ。 これから共に行くデドゥディムの姿を目でさがす。 ──楽しい方へ歩こう。熱い音を鳴らしていこう。 故郷の青い星にも、どんな凍えた宙にもいつか届けられるように。
ギンカ
…… 忘れ物はないか? 指を鳴らせば、音楽と共に稲妻めいた光が奔はしる。 戦闘能力。 ここを出た後も、ちゃんと使えるのかはわからないが、持ってて悪いものでもないだろう。 いつでも展開できるシンセサイザー。ステラボード内のノーツやスキルで具現化した存在だ。……この世界を出たらどうなるかはわかんねーな、と思う。でもクソ便利だった。持っていたい。 交わした言葉や絆、再会への希望。友達の縁。 ──ゲームはクリアした。ちゃんと覚えていられる。 もらったものの他に、お気に入りのノーツを一つ。 ポケットに金の鍵も一つ、滑り込ませる。なんか気に入った。
>>ハジメ#568458
ギンカ 「ハジメじゃん」 旅支度があらかた済んだ辺りに、少々懐かしく感じる顔を見た。 「そ? 話しかけてくれてよかったんだぜ。 あぁ俺はクリア済み。もうちっと喋りたかったけど、元気でな」 答える青年も、じきにここを去るところだ。 楽しんだならよかったと手を振るのだった。
>>デドゥディム#565531
ギンカ 愛と呼べるものを、親から享けたことはなく。 誰かと付き合いはしても実感は持てなかった。 “この先もずっと”と求めるものは、音楽以外にないと思っていた。 「デドゥディム」 あなたのような台詞はさらりと言えないけれど。 青年は彼なりの言い方で、この上ない愛情を伝える。 「俺の音楽になって。ずっと俺の隣でいて」 ✰ˊ˗ ──星盤が閉じるまでの残り時間を、傍で過ごして。 二人旅立つだろう。夏の星座のその先も、共に歩くことを選ぶ。 どこに行ってもかまわない。 隣にあなたがいれば。音楽が鳴りやまなければ。
>>デドゥディム#565531
ギンカ 心の烈火がおさまれば。今さらのように、 誰かを強く想うことへの物慣れなさに戸惑いながら。 胸を落ちつけるように短く息を吸って、吐く。 気付かれたのかはわからないが。……あやされるような動きが、なんだか悔しい。 一旦、気持ちが落ち着くと、高校生男子である。 愛してるという言葉を口にするには羞恥が勝る。 「……うん」 結局、腕の中でひとこと、答えて。
>>デドゥディム#565436
抱き寄せられる儘。 間近で聴く言葉の艶に、あなたにふれる手が微かに震えた。 飛ぶのは未知の世界だ。目の前の相手以外に頼りはない。 本当にまた故郷の地を踏めるかも、元いた場所の友達にまた会えるかも、確実にはわからない。 それでも全部預けていい──と想う自分の情動に狼狽える。 それは空間フロアに打ち響くビートに、初めて肚の底を揺がされた日の震えにも似て。
ギンカ
…座りこんで、旅立ちに持って行くものを選んだりしている。 仲間や友達や特別な人からもらった物。遊び倒した記憶、再会の約束。 大量にあまらせた星の鍵の中をかき分ける。 食べ物の類はすでに腹の中だ。 インベントリの整理できてなさがすごい。 |
>>Estella#547925
ギンカ 「……」 人形めいた姿をしげしげと見下ろす。 きれいな姿と動きにも関わらず、絶好調とはいえないような。 なぜかそんな気がした。 ここに来るまで、何があったか聞いてみたいところだが、ゲームはもうすぐ終わろうとしている。 「楽しい時に踊れよ。 そんでまた俺の音楽聴きに来て」 「たぶん、俺またこーいうとこにいるから。 あんたが探すならね」
>>Estella#547924
ギンカ 思いついたような動きで、立ち上がって、 小柄なあなたに歩み寄ったなら。 いつかと同じようにパーカーのポケットをごそごそして。 「これ食う? 口ができたら。ポラリスで買った」 唇の片端を上げて笑う。「うまいぜ。意外と」 今度は投げるのではなく差し出した。
>>Estella#547922
ギンカ 「前よりきれいじゃん?」 あいかわらず不躾なほど一直線の視線と感想を送れば。 見慣れない花やリボンの色に夜さりの空を思う。 蜘蛛の巣や、動きそうにない口もとに目をうつす。 といっても、前から大きく状況が変わったようにも見えないが── 「次会うとしたら、バカンスにでも行った後のあんたを想像してたんだけどなぁ。 ハワイのドレスみたいなの着てさ」
>>フィッツデール#564987
ギンカ 「おう」 旅支度をしていた青年が嬉しそうに応えた。 不機嫌に見えるようないつもの視線は、遊び仲間に向くと人なつこく笑って。 インベントリの向こうから手をふる。 「マジ楽しかった。無茶しすぎてやられるなよー」 「またな、フィッツデール」
>>デドゥディム#560247
ギンカ …… いつもの柔らかな微笑と、耳に心地よく響く笑い声があれば。 牙をおさめるように、少し大人しくなって。 「行ったら、俺にはあんた以外いなくなるんだぜ。ほんとに。 いろんな意味で。 ………見てたよ。だから、嫉妬するんじゃん」 身体の動きを抑えられているなら預けたまま抵抗しない。 いずれ睨むのをやめて、目線を伏せる。 千々の感情が上手く言葉にできないように、どことなく恨めしげに子どもめいて、 「……ばかだよ。デドゥディムは。大馬鹿だ。 俺だって、あんなこと言われたら……。 …… ……あんたのこと難しくてわかんねぇよ」 聞こえるか聞こえないかで呟く声は、先程よりも緩くほどけた。
>>デドゥディム#560260
今かけがえのない人を、一直線に睨む。掴まれるまま、意に介さず、爪先立つようにして自分から身体を寄せて。 全身から怒りが熱になって放たれるような気魄だった。 あなたよりも背の低い痩躯を寄せて、ぎりぎりまで口許を近付けて、押し殺した声で囁く。愛を告白するしぐさ。 「そこまで覚悟がないときに、愛しいとか──命の続く限り共にとか──ややこしいこといったらぶっ殺すぞ」 「あんたと一緒に行きたい。連れてってよ」
>>デドゥディム#560260
ギンカ 夜のとばりが下りて、吐く息が冷たくなるのを感じる。 夏が終わって、もう次の季節が来ている。 「……近いっていうのは、 傷つけることもあり得るってことだよ。どうしたって」 ──ひとときのやさしい夢物語で終わらせないなら。 命の続く限り共に往く仲なら。 あなたの意味する立場が、友人でも保護者でもなく、 唯一焦がれる思い人であるならば。 「それでもデドゥディムが一緒にいたい、 後悔させないって言うなら、俺はそれでいいんだ」 何かを選択して、失うものがないなんてことはあり得ない。 それでも奪ってしまいたいほどの熱が本当にあるなら、 あんたの隣を居場所にしよう。
>>デドゥディム#560260
ギンカ 肩を掴まれる。拒まない。頬に手を添えられて、瞼を閉じる。 あなたの奥底にあった本音を漸く聴いて。 この星盤に来たばかりの時のように、呼び慣れた名前をなぞる。 変わった名前だな、と最初に口にした始まりの日からどれくらい経ったろうか。 いまや何度も聴いた音楽のように温かい響きになった、あなたを示す音。 「……デドゥディム」 「……わかってると思うけど……」 と、言い置いてから、遅疑する沈黙が数秒あった。ことばにして伝えられてはいないと思い直したのだろう。 目を開けて、ぎこちなく片手を上げて、 触れられるならゆっくりと相手の身体に触れる。 「俺は、俺が弱いから、護られたいからって理由で、 一生の隣パートナーを決めたりしない」 傷を持ってはいても、あなたの不在を寂しく感じても。 変わらず元の世界で、自分で生きていく力がきっと青年にはあるのだろう。
>>アルノ#546229
ギンカ 「マジで? さっすが。大歓迎。そう、その光る板で……街歩く前にゼッタイ電話か何かしてな。 ま、ディーヴェルがいたら、大丈夫だと思うけど」 なにやら心配する顔。友達が刀を携えてしょっぴかれたりしたら大変だ。 星の旅の友達に宛てて、もうひとつメッセージを送信しておくだろう。 東京都から始まる住所。最後に『八坂暁』という文字列。 連絡先、現世の名前。 「もしかしたら俺居ねぇかもしれねえけど、── そん時はまた場所連絡するわ」 きっとまた声を交わせると信じて、楽し気に笑った。 |
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