作り物の憧憬
ENo.44 neko* 私を満たして
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>>角のある子#349982
neko* 「……」 "優しい"と評されれば、長い前髪の下で眉を顰めて 目を逸らした。そんなわけがないのに。 誤魔化すように残りのおにぎりも口に運ぶ。咀嚼すれば口内に 広がる確かな塩と梅の味。……本当に不思議なゲームだ。 「……そうかな」 それがなければ生きることを選択できない。 本当に良いことだろうか。空いた両手で膝を抱える これには分からない。 悪く言えば、大切なものに生殺与奪の権利を握らせていて。 そしてあなたのように少しの『逃げ』を選択することも これにはない。 それに、人はまた『得る』ことが出来る。 小さなものから大きなものまで。 あなたも、きっと。 「……ふふ、それはこちらの台詞ですよ。 うっかり事切れない程度に体調にはお気をつけて」 そんな軽口を叩いては名前を確認するように読むあなたに 「はい」と頷いてみせる。好きに呼ぶといい、という姿勢。
>>ポーチェ#354121
neko* 「そうですね」 ふ、と口元を緩ませて頷く。 生地を作る時間も、焼き上がりを待つ時間も。 タイマーが進むにつれて漂う香ばしい匂いに、沸き立つ姿が すぐに思い返せてしまうから。 確かにそうだな、と含みなく同意した。 それから、また少しの間待ちの時間。 会話の途切れ目にそろりと目を動かし。 「……あの。少し気になっていたのですが」 お尋ねしても? と窺うように視線を向ける。
>>アヤノ#349222
neko* 「お住まいが近くなら、実際にお会いして同じように 店を見て回ったり出来るんですけどねぇ」 実現出来るかは別として。 戯れも言うだけならタダだ。 「あぁ、いいですね。合うと思いますよ。 それにしますか? それか、他にも何か迷っているものがあるなら 私がそれを選んで、アヤノさんにシェアするでもいいですよ」 好きに冒険するといい……。 ショーケースに張り付く子供を前にした親のような顔で 微笑ましく見守っている。
neko*
ブラクラゲーム?
>>アヤノ#348830
neko* 「そうでしょうね。……ここで体験したことが ゲームの外でも出来るといいですね」 だろうな、と何となく難しい環境を察しつつ。 「うーん、どうしましょうか。アヤノさんはどれにしますか? 何か好きな果物とか、気になるトッピングとか……ああ、 こっちには抹茶を使ったものもあるみたいですよ」 迷った様子のあなたに、メニューを指さして反応を窺う。 和風のトッピングならまだ馴染みがあるだろうか、とか 好きそうなものや、苦手そうなものはないだろうか、とか。
>>角のある子#333434
neko* 「交流のない、無関係の赤の他人だからこそじゃないですか? 事情も知らぬ会ったばかりの他人に、あれやこれやと突かれて 説教されたくはないでしょう? そういうのはしたい人がすればいいんですよ」 心の優しい善良な人間が。 ベールを纏うそのアバターに全くそぐわないことを言う。 まるで自分は違うのだと自嘲するような笑みを浮かべては、 いただきますと持ったままだったおにぎりを一口。 何かのゲージが満たされる感覚はないが味はする。おいしい。 「……ありますよ。足枷ではなく、依存先が。 大切なものに押しつけてるんです。勝手に。理由を」 自分が生き続けるための理由を。 きっと、あなたはもう失くしてしまったもの。
>>ポーチェ#334705
neko* 「言いますねぇ」 ぼんやりとした相槌を打ちながら、同じく成形して 表面にクープを入れる。後は焼くだけ。 「わぁ。ゲームのオーブンってすごいですねー。 では、お隣失礼して……」 こちらを見る眼差しには知らん顔して あなたのパンの隣に並べて入れた。 果たして、上手く出来上がるだろうか。
>>アヤノ#333499
neko* 「いえいえ……知らないことは誰にでもありますから。 私も知らないスイーツの方が沢山ありますし」 自分だって知り合いに聞かないと知らないものばかりだ。 特に、若者の流行りは難しい。 「ええ、現実ではありますよ。 ……まずはクレープにしますか?」
>>アヤノ#332941
neko* 「……」 笑顔のまま一呼吸。 どうやらそのまさかだったらしい。 「……えっとですね、基本的に洋菓子、和菓子のお菓子といった 甘味を総称して『スイーツ』と言うことが多くてですね。 その級友の方々が言っているのは、ああいう甘味を お店やカフェなんかで食べよう、という意味合いだと 思いますね」 ああいう、と通りに見えるであろう店を指さす。 「例えばあそこはケーキ屋さんですし向こうはクレープ屋さん、 あっちにはアイスも売ってるみたいですよ。 スイーツ、と一口に言っても沢山種類があるのですが……」 どれにするのか、と視線で窺ってみる。 選り取り見取りだ。何か気になるものはあるだろうか。 |
>>角のある子#317967
neko* 「……そうですか。いいですね、何もないんだ」 自身を『現実』に繋ぎとめる為の拠り所が。 いいなぁとどこか遠くを見るように目を細めた。 「……まぁでも、定期的にログアウトして生命維持くらいは した方がいいと思いますよ。"後片付け"の準備にも体力は 必要なんですから」 残される側の迷惑が考えられる人間なのであれば、なおさら。 「海に行って、自分に重石もつけられないほど弱ってたら それこそ迷惑でしょう?」 薄く浮かべた笑みは絶えず、旅行の計画を立てるような 軽い口調でそんなこと言う。
>>ポーチェ#324540
neko* 期待する瞳に「えぇ」と笑みを返す。 果たしてきちんと約束は守られるのだろうか……。 「パンが歩き出したら困っちゃいますねぇ」 何を言っているのだろう……という言葉に適当なことを返しつつ 整形の準備をするあなたの後ろでしれっと予熱を入れておいた。 ゲーム内のオーブンにも予熱って必要なのかなぁ……とか 思ったりしながら。
>>アヤノ#317916
neko* ご満悦な様子をちょっと不思議そうに眺めては、 歩き出すあなたの隣に並んだ。 ……のだが、何だかものすごく気になる言い回しに 少し固まる。まさかね。 「……えっと。今日は"何の"スイーツを食べに行くんですか? 何処かお店の目処とかはついていたりします?」
neko*
うさぎがいる。かわいいね。
>>角のある子#314686
neko* 「……私にとっての『現実』が 『ここ』ではないから──ですかね」 少し逡巡した後、そう答える。 ここには0と1で形作られたデータしかない。 自分が望むものも大事なものも、ここには無い。 「……あなたの言う、生きること、仕事をすること、家族や 友人と過ごすことといったログアウトするべき理由があなたに 無く、『ここ』があなたにとっての生きる『現実』だと いうのなら、それも良いと思います。 あなたの選択はあなた自身のものですから」 "するべきだと思う"ということは、ログインし続けることを 推奨されているわけでも、強制されているわけでもない。 『現実』を置いておくほどの、ログアウトをしない理由が あるだけなのだろう。 「……ただ、あなたが置いてきた『現実のあなた』のことは どうなされるつもりなんですか?」 非難でも心配でもなく、純粋な質問。 何の感情も見せない菫色の瞳がじっとあなたを見つめている。
>>アヤノ#310998
neko* 指定された場所へ向かい、すでに待っているあなたを視界に 入れると、ベールを揺らして小走りにそちらへと近づく。 「お待たせしてすみません。 こちらこそ、今日はお誘いありがとうございます」 自分より大分下の方にある瞳と視線を合わせて微笑む。
>>角のある子#285889
neko* 「――……」 もう、唖然。 二の句が継げず、信じられないものを見る目で あなたを見つめている。 「……いい、ですけど……。 ──―……あの、差し出がましいこととは存じますが、その。 きちんと定期的にログアウトした方がいいと思いますよ」 手遅れになる前に、とは言外の含み。 おにぎり片手に提案に頷くも、それが口に運ばれることはない。 というかそれどころではない。 「……すみません。不躾で大変申し訳ないのですが…… 何か、ログアウトしない理由があるんですか?」 例えば、長期間ログアウトしなくていい、 もしくは推奨される環境、だとか。
>>角のある子#285889
neko* 「……仲がよろしくて、良いご家庭なんですね」 笑い声に目を細めた。 本当に、良いことだ。 それから1つ、2つと指を折っていく姿に ただ眺めていただけの表情がじわじわと曇っていって。
>>ポーチェ#293986
neko* 「そうですね、その黒くて白い三角のやつです。 じゃあ、おにぎりとお味噌汁にしましょうか。 ここで作れるのかは分かりませんが」 味噌があれば、何とか。 あるのか……? 味噌が……。 そんなことを話しているうちに、パンの赤ちゃんも すくすく育って立派な大きさに。 「そろそろいいんじゃないですか?」 まんまるの生地に指を差し込んで確認。大丈夫そうだ。
>>アヤノ#286521
neko* *ぴこぴこ 『いいですよ。私でよければ。 セントラルに向かえばいいですか?』 いつ頃どこで落ち合うのかのお伺い。 指定されればその通りにして、あなたと合流することだろう。 |
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