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  手製の婚姻届

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  サムシングボロー



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「人間って奇妙なコトをしますよネ」



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>>寝起#325336
イト
彼からあなたに対しては、またいつかに会ったらよろしくだなんて社交辞令はなく。
会わなければそれで終わり、会うことがあればまたその時に考える程度の、我々らしい別れがあったことだろう。
それはつまりは、人間的には味気ないものになるのだが。

そんなものだろう、我々は。

道が重なれば、またその時に。御機嫌よう。
>>寝起#325336
イト
この話した時点でも、彼はサムシングフォーの古い物は持っていて、借りる物にも当てはあった。新しい物と青い物は、ゲームが終わるまでに問題なく揃えられたはずだ。

あなたは完璧な幸福な花嫁になって、それでもって結婚式を破壊する。
他者から見れば完璧も幸福もほど遠いものだが、あなたにとっては問題のないことだろう。我々とはそういうものだ。

紆余曲折はあれど、このゲームに彼がやってきたことに関する話は一つの終着を迎える。
>>寝起#325336
イト
彼としてもあなたが帰らないのは困るものだから。
約束が守られないことは、あってはならないから。

だから、あなたにとって何が問題だったのかを紐解いて。

最終的には、結婚式を共にぶち壊す方向に話はまとまっていただろう。彼が彼であるものだから、この時には解決しないでまた後日にアプローチをしていたかもしれないね。
>>寝起#325336
イト
「えっっっ、どういうことです?」

あなたがその結論に行き着いた理由が、彼は本当にまったく分からないようだった。
彼という奴は今は軽い調子で喋っているが、本質的には変な方向に頭が固い堅物だ。自身の様々に対しては強いこだわりを持っていないくせに、誰かの言った「こうした方がいい」には、更新されない限りその観念に頑ななもので。

そんな、己からの譲歩の発想がない故の、本来であればなくてよかった結果に行き着いてしまった。
>>『あなた』#325244
 
とは言え、重ねた交流は無意味ではない。

彼にとっては"記録"だなんて味気ない表現をされるものだが、普通言うのならあなたとの"記憶"と呼べるもの。
いつかの遠くに"物"はなくなってしまっても、ずっと残り続ける彼の持ち物。

あなたが人々に持ち帰ってほしいものを彼は持ち帰って。
それでそのあなたとの記憶は、これから先の彼に大なり小なり影響し続けていくのだ。
 
>>『あなた』#325244
イト
この日か後日か、貸し物の製作は時間がかかったかもしれないし、案外簡単にできたかもしれない。
後には話していた新婚旅行だってしたし、思い出したように結婚式の真似事もした。他にもいくつもの時間を共にしたことだろう。

そしてゲームが閉じた後には、どこか遠くであなたと彼との婚姻関係は解消されるのだ。それで終わり。

結局この星のゲームの世界で、あなたと彼との関係は最後まで変わらなかった。誰かの基準では"友達"で、誰かの基準では"ただ存在を知っているだけの人"。

見方によっては、本当に何でもない関係。
>>『あなた』#325244
イト
「え、さあ…特に聞いたことはありませんケド」

気にせずとも構わないのではとか、そう言えば彼のアバターのメインカラーは薄い水色だとか(これは実は彼の勘違いだが)、思いつくことは一通り話された。

貸し物は最終的には、ブレスレットやネックレスあたりが選ばれただろうか。細い銀の鎖にワンポイントの装飾程度なら、どんなものにだって合わないということはない。
大き過ぎなければブローチもありはありだが、大枠で夏休みの宿題と同じものを作るよりかは、違うものを作ろうかなんて話もしたかもね。
>>ニュート#341339
イト
この後彼は、今見える場所やこの世界にある青色の物がどれかをあなたに聞いた。
彼は結構礼節を欠いている奴だし、可能な限り沢山を聞こうとしたものだから、途中であなたの親切心が売り切れてしまったかもしれない。
そうはならず、話が続いたのなら他のことも話したかもしれない。


いずれにせよあなたと彼とは別れ、それぞれの冒険に戻っていったのだった。
>>ニュート#341339
イト
「? あー、特別な青と言えばそうでしょうカ。
 サムシングフォー?のひとつですからネ!」

彼が言うには、持っていると花嫁に幸福をもたらすという言い伝えのあるサムシングフォーのうちの一つである「青いもの」を探しているらしい。
が、普通、その青の細かい種類に指定はないはずだ。


あなたと彼はしばらくの間、どこか噛み合わない会話を続けたことだろう。ここまでも噛み合っていたと言えるわけではないが。

彼はどうやら、青がどんな色かの知識はあるが、青が見えていないらしかった。赤は赤だが、黄色は白、紫は赤、純粋な青は黒に見えている。
精査せずに借りた身体でしたし不具合に気付きませんでしたネ!!とかなんとか言っていたあたり、彼は幽霊か何かのように憑依でもして生きているのだと思いつけたかもしれない。正しくは幽霊ではなく、精神のみの生き物だ。

イト
「こういうトコロにあるこういうモノが、
 エモいうヤツなのですかネ?」

寒々しい中で手に入れた『不屈の』のノーツを手にしつつ。

>>寝起#305921
イト
「とは言え無期限にするモノでもありませんから、
 アナタを連れ帰るまでと己で定めています」

結婚式の邪魔は帰還後の話だから断っただけで、記憶の欠落を埋める為の手伝いを頼まれていたなら軽率に受けていたということである。

「約束は守られるべきですから、
 ワタシはアナタを連れ帰ります」

聞かれたことに対しては以上です。という雰囲気だ。不足や追加の何かがあれば聞かれることは全く構わない。
配慮は思いっ切り不足しているので、そうしたことを彼からは聞かないが。
>>寝起#305921
イト
「同胞は言いました。
 どうして己が経験した事のない事象の証明が出来ようか」

「その通り、体験したコトのない事例において
 完全に無意味であると言える根拠をワタシは持たなかった」

「ので、現在体験してみているトコロです」

「つまりは無償なり有償なりで人の為になることをしてみて、
 己にとって得るモノがあるかどうかの検証をしています」

「得るモノがなければないなりに、
 "なかった"という検証の結果は得られますから、
 無意味なコトにはなりません」

それも同胞の詭弁受け売りであるが。納得はさせられたのだ。
>>寝起#305921
イト
「まずワタシが基本的に依頼の類を受けていなくて。
 大抵のことは己でこなせますし、
 対価と呼べるものもさしてありません」

「同胞からは、己とケッコンシキを挙げる約束をしたアナタを
 自分のもとに連れてきてほしいと依頼されました」

サムシングフォー云々の話はその流れで聞きましたネと挟んで。

「ワタシとしては受ける理由は皆無だったのですが」

「そのあたりが先に話した、
 "無理解が真に無理解であるか"という話に掛かってきます」
>>『あなた』#293428
イト
当人に何もないものだから結局は、
誰かの思う『可愛い』を真似るだけにはなってしまうが。
可愛いくらいに一般的な概念であれば、彼も大きく外れたものは思い浮かべない。


「良いのではないでしょうカ? そうですネー…」

それなら、とかざしていた吊るし飾りを棚に戻し。
カゴを拾えばひょいひょいと素材を手に取り移動していく。

「こんなところじゃないです?」

レザー素材の赤ハートにブローチ金具。
白いレースの縁付きのピンクのリボン。
キラキラ光を反射するラインストーン。
デフォルメされた天使の翼の布飾り。


カゴの中にはそんなものが入っている。
見た目だけなら魔法少女めいたブローチが
出来上がりそうなラインナップだ。
>>『あなた』#285545
イト
今にあなた達が見ていたのは、服飾素材を売る店の一角。
ミサンガに使うものではなく、そのまま衣類の装飾に使えそうな紐やリボン、
先端に取り付けられるチャームやタッセル等が並んでいる。


「ケフェウス座は水が多いですケド、夏らしいかと言えば、
 単にそういう場所であるというだけですしネ」

つやつやした赤いハートの飾りを棚からひとつ手に取り、
あなたにかざした。深い意味はないが、無意味でもない。

「カワイイハツクレル!と言いますし、
 研究の成果として物品を提出しても良いのでは?」

自由研究の提出用に別途作製するなり、
工作の宿題として作製するなりも一案だろうと言っている。
>>『あなた』#285545
イト
「ア~、そう言われればまだ理解しますネ。
 同胞の説明って余計な情報が多くって」

互いの感情に焦点を当てた長ったらしい説明をされたらしい。
情動の機微如何に造詣の浅い彼には不適当だ。

道中に腕を引かれてようやくあなたに歩調を合わせる、
なんて一幕がありつつ、目的の店舗に着いていたのだった。

自分達は彫金の技術を持っているわけでもない。
素材を放り込んでワンタッチで完成するゲーム的な加工を
彼は考えていたようだが、最終的には手芸的な製作をする方向に
話は纏まっていたのだった。折角二人で作るのだからね!

自分達が初心者であることを考えれば、
紐を組んでのミサンガあたりが手頃だろうか。
手間は少々増えるが、石や何かのモチーフを組み込むことも可能である。

勿論他の物になったって良い。ちょっとの器用さがあれば、
イヤリングなりペンダントなりのアクセサリーは十分製作可能だ。

>>寝起#272389
イト
「アー、可能性で言えばそうですネ。
 そうであるからワタシもこうしてココにいるワケですし」

無理解が真に無理解であるかの試行中とはそういうこと。

「手伝う理由がないので断りますネ」

そして要請はあっさりと断られた。

「その辺りが今ゆるめなのって、
 こうして一旦は我々の現在から離れている際限定ですし」

とは言うものの強いこだわりがあるわけではないので、事情を深掘りするなり、そうしなくとも期間について誤差とでも言いくるめれば手伝う約束はつけられそうだ。面倒な奴である。
>>『あなた』#281019
イト
彼は少し前にポラリスを歩いた時に、
素材の店も加工施設もいくらか見繕っていた。

足取りに迷いは全くなく、
それ故にあなたを置いていきかけるかもしれない。

今回の予定を決める際、この彼は素材販売と加工の複合店舗に寄って
加工までを今回で済ませ、新婚旅行は別で計画を立てることを提案していたが、
旅行先もポラリスにするのなら加工はその時でも構わないだろう。

どこかの星で景色をたのしむなんてことをするよりも、
買い物なり何かの体験なりをする方が、あなた達においては
新婚旅行やデートの形をまだ取りやすいはずだ。
>>『あなた』#281019
イト
「同胞曰く、いつに到着していても
 ウウンイマキタトコと答えるのが慣例らしいですが、
 虚偽の申告をする意図は理解しかねます」

ゴミ箱に華麗に吸い込まれていった容器が見えなくなれば、
視線をあなたに戻して。

「ジユウケンキュウ……学生の敵、シュクダイの一種で合っています?」

問いかけながらスタスタと歩き出す。
>>リュウセイウツボ#277722
なんだったのだろう……。
──人々のする気遣いというものを表面上でだけ真似ている何か、とでも言えようか。兎角、説明してくれる何某かはここには存在しなかった。

ゲリラ豪雨みたいな降って湧いた災難だとでも思って深く考えない方がいいよ──そんな天の声は聞こえたか聞こえなかったか。

あなたに宇宙の広さを思わせることになったかもしれない出来事は、こうして幕を閉じたのだった……。



 
 
 
 
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