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>>ミオアリア#524382
迷 「泳ぐの、苦手だった?」 小学校高学年の頃のことを思い出しつつ海へと潜る。 水泳の授業は苦手で、いつも気乗りがしなかった。 ビニールのボールを追って、水面から顔を出す。 「眠る時間に変わりはないけど、ひとつ決めたことがあってね。 帰らないことにしたんだ。ここで出会った人についていく。 何もかも嫌になったとかじゃなくて」 胸の下にボールを押し込んで浮力の足しにしている。 「運命と向き合うためだ。 現実と思っていたものは小説の舞台に過ぎなくて…… 私という物語を書いた人を見つけてしまった」
>>菜月#523273
迷 「問題はどうやって編集くんの機嫌をとるかだね。 菜月が東京湾に浮かぶ前にどうにか宥めないと…… 頑張りたまえよ大先生。骨は拾ってあげるから」 彼女も彼女で大変そうでくすくすと笑う。 「切り替えの早い性分に助けられた訳だ。どういたしまして。 何かしら問題が起きてから考えたって遅くはないさ。 私たちは探偵と助手。二人で一人の迷探偵だもの」 これからのことを話しあいながら、天の帳を写真に残した。 残り火で格別に甘いアイリッシュコーヒーを仕立て、常冬の星の片隅で肩寄せ合って過ごすのだった。
>>菜月#522834
迷 「現実を侵食して改変しちゃうゲーム? 謎すぎるでしょ…っていうのも今更だけどさ」 不思議なボードゲームの映画を思い出している。 「今にして思えば、君は私を怖れてもいた。 どう向き合っていいかわからない様子だった。 でも、あの時にした約束……」 もう二度と君を責めない。たしかにそう口にした。 「ちゃんと守ってるから。ほら怖くない、怖くない」 着ぶくれした身体に腕を回して、ぽむぽむしている。
>>ミオアリア#522346
迷 「いいよ別に。君の人生だもの」 あっさり答えた。 スイカより一回り大きい浮き輪のボールをぽいっと投げる。 「って私が言ったら納得できるのかい。 安心したいのか、それとも決心がつかないのか。 欲しいのはどちらだろうね。自分の胸に聞いてみるといい」 一月も二月もゲームを続けるなんて尋常なことではない。 しかもステラボードは尋常ならざるゲームだ。 「私もずっとここにいてさ、たしかに気がかりではあるよ。 ずっと行方不明なのか、昏睡状態で入院しているのか……」
>>菜月#522213
迷 「この言問迷に勝るとも劣らぬ文弱だものね。 菜月の弱点は国家権力。何かに使えるかなこれ……」 一応覚えておくことにする。 「あと学籍もだよ。普通に卒業する予定だったから。 その辺はいい具合に帳尻があっていてほしい。切実にね」 星々の海で撮ってきた写真も一緒に送った。 「これ覚えてる? 初めて会った日に撮ったやつ。 縁日のジュースに、菜月にそっくりの木。これはレース中。 こないだのキャンプの時のも。たくさん遊んだねえ」 思い返して笑っている。
>>菜月#521354
迷 「そうじゃなくて、”私の”世間様の方だよ。 作中世界の私自身。うちの両親とか、従妹の果奈ちゃんとかさ。 これから自分で書いていくんだ。菜月のいない世界の”私”を」 物語は続く。ふたつの人生が並走することになる。 どちらもきっと、本当の自分に違いはなく。 「異世界人って知られたらマズいのかな。 NASAとかCIAとかCERNが捕まえに来たりだとか……」 オーロラを背景に自撮りできないか試行錯誤している。 「勝手が知れるまでは左団扇のヒモ暮らしかな…っと」 写りがよかったのを見せてみる。
>>菜月#519480
迷 「むしろこれからの方が地獄に落ちそうじゃない? 君と一緒になって、世間様を騒がせる片棒を担ぐ訳だから」 心配そうな表情をして、同じくらいの体重を乗せ返す。 「死なないように気をつけるけど、不安だなあ。 死に癖がついてるし。死なない様に見てておくれよ」 菜月の暮らす現実にも”あの”地獄はあるのだろうか。 わからない。細く吐息を漏らしながら天の帳を仰ぎ見る。 「父さんな、大学やめて菜月のヒモで食っていこうと思うんだ。 そもそも戸籍とかあるのかな。実際、君を頼るしかない訳で…… 頼んだよ菜月。本当に一蓮托生なんだから」
>>菜月#519374
迷 「女に生まれた時点で”詰み”とかね。 閻魔様も時代の変化に追いつこうと頑張ってるけど… これもある種の『レ・ミゼラブル』というか」 なので心配ご無用と言いたかったらしい。 「そもそも”言問迷”は実在したのか?とか、 私の推理は辻褄が合うだけのデタラメじゃないか、とか…… 言葉遊びの種はあったんだよ。煙に巻くようなやつ」 スマホを向けて、まだ赤い顔を写真に収める。 「でもやめとく。センセイが真に受けそうだし。 それよりほら、オーロラだよオーロラ。見に来たんでしょ」
>>菜月#519234
迷 「腫れ物に触るような配慮を感じる」 思いのほか真に受けられて焦りだす。 「冗談だからね。無い、無いってば絶対無い。ありません。 初めてだって言ってたでしょ。これは本当にそうだから」 珍しく身振り手振りを交えて否定している。 「封建時代の戒律だもの。時代にそぐわないものもあるさ。 子供がいないとか、月のものを経験しただけで地獄に落ちるし」 石女地獄に血盆地獄というそうな。 「私の場合は金剛嘴蜂処……因果を論じる者の地獄とかかな。 多分そう。探偵向きの人間はみんなここに落ちるのかも」 |
>>菜月#518942
迷 口の前で合わせた指の隙間から白い吐息が漏れてゆく。 罪の告白をする気分というのを生まれて初めて味わっている。 「”割”って”刳”りぬく”処”と書いて”割刳処”」 それは地獄に落ちる程の大罪を犯した者を待つ裁きの名前。 「罪とはつまり、」 汝は罪人なりやと問われた訳ではない。 隠すようなことでもないから話しておくだけ。
>>菜月#518942
迷 「地獄の構造を知っているかい。 下調べをして、知って書いてるだろうけど」 生前に犯した罪状に対応する八大地獄。 各地獄の四方の門に連なる小地獄が四つ。十六の小地獄。 「八大地獄の十六小地獄で、百と二十八に分かれる計算だ。 罪と罰の対応関係。私の罪もその中にある」 7ターンが経過して火が消えた。 煤を払いながら光輝を増すオーロラを見上げる。
>>菜月#518019
迷 「問題は、手違いがあったかどうかだ。 偶然と必然の違いは大きい。偶然であれば人違い。 必然だったなら前科を問われたことになる」 ”気のいい仲間”って鬼くんたちのこと? などと問い返して笑っている。 「結論から言うとね、手違いじゃないって言ってた。 であれば『レ・ミゼラブル』? 一斤のパンを盗んだのか? あるいは……私こそが人殺しだった?」 いつしか雪が止んでいた。この星では珍しいことだ。 暗雲の天蓋が取り払われ、無垢なる宇宙が露わになる。 荘厳なる碧き光のとばりが天にゆらめく。
>>菜月#518019
迷 「”君の”地獄に付き合って欲しかったって? 人畜無害な顔をして、私にだけははた迷惑なわがまま放題。 たしかに君はそういう人だ」 くっくっと笑いながら焦げ目のついたマシュマロをかじる。 「世間じゃそういうの何ていうか知っているかい。 ”無理心中”だ。昭和の文豪じゃないんだから……」 呆れたような仕草をして、白い吐息を棚引かせ。 「けれど私は、正義の味方なんかじゃないよ。 我が身かわいさで助かりたいだけ。自力救済の結果に過ぎない」
>>シーシィラ#516990
迷 「いい夢だったね。 明日の私は別の答えを口にするかもしれない。 生きてる限り探し続ける。求めることに意味があるから」 答えを持ち合わせているかどうかが重要ではない。 大切なのは、問いに向き合おうとすることだと思っている。 「遊んでくれてありがとう、シィラ。 さようなら。君もいい旅を。またどこかでね」 お別れには笑顔で応えて、手を振り舞台を降りていった。
>>菜月#515689
迷 「あの世の話なら”探偵天国”でいいじゃないか。 私もそっちの方がいい。なんだかお気楽な感じだし。 でも言問迷は地獄に落ちた」 折り返しの4ターン目に入って火の勢いがマイルドになる。 「なぜ? どうして地獄だったんだい? 閻魔様にも当然に尋ねてみたけど、その前に…… 君が答えを持ち合わせているなら聞いておきたいかな」 マシュマロの表面がいい感じに焼け焦げていた。 適当な棒に差して差し出す。
>>シーシィラ#512464
迷 「あとどれくらいの時間が残されているにしても…… ゆっくり話せるのはこれが最後になるだろうね」 そっと降ろして、胸にて手を当て恭しく長身を折った。 「”愛別離苦”の答えは出たかい」 以前そんな話をしたことを憶えていた。 「私の答えは、別れもまた愛することだ。 今すぐには難しくても、偲ぶだけで精いっぱいでも、 いつかは愉しい思い出に変わって、愛おしく思える日が来る」
>>シーシィラ#512464
迷 「美しい夢を見せてくれた。たしかに君は素敵な人だ。 だからこそ、私よりずっと素敵な人に出会える。いつか必ずね。 君も私も、まだこれからの人だもの」 そういう未来を想い描いて、まなざしを重ねる。 「ほんの少しの間でも、シィラと同じ時間を過ごせた。 奇跡にも似た偶然。運命のいたずらだ。 同じ夢を見られてよかった。どんな言葉でも言い尽くせない」 足取りはレントより遅く。 カーテンコールの後の舞台にも似て、奈落の底の世界が廻る。
>>菜月#514849
探偵炎上・言問迷 「でね、大金持ちと貧乏人が入れ替わるお話なんだ。 本来の立場をあべこべにすれば物語が生まれる。 そもそもの話……」 バッチバチに燃えている。 「どうして地獄に落ちたのか。 こんなどこにでもいる小市民が地獄に落ちるだなんて、 奇妙に感じたことはないかい。あるいは……」 迷よ、迷よ。夜の森に赤々と燃える。 いかなる不滅の眼と手が汝の恐るべき均整を造り得たのか。 「地獄に落ちて当然の悪党だったんじゃないか、とかさ」
>>菜月#514849
探偵炎上・言問迷 迷 の 物理攻撃力 が 23 上がった!! 迷 の 魔法攻撃力 が 1303 上がった!! 迷 は燃えている… 1324 のダメージ! 「どうだ明るくなったろう」 |
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