Eno.19 山吹く空に、人形は 記録09_ - トイランブル
―― Time Code : i
歩き、歩いて、歩いた、果て。
時は終わって、歩みは止まる。
それはきっと、冒険の終わり。
見知らぬ道を、歩き続けて。
見知らぬ空に、見下ろされて。
伏した地からは、見上げることも出来ないまま。
ゆっくりと、終わる。
後悔は、無かった。
渇望も、無かった。
人形にとっては、この冒険が。
この冒険だけが、自分達の存在の証だったから。
だから、その終わりを、静かに受け入れる。
ゆっくりと、静寂とひとつになる。
― ― ―
― ―
―
歩いていた。
何時か歩いた、その道を。
それは、思い出と呼べる程のものでも無い。
過去となった人達の、記憶。
道すがらに、それを見る。
地に転がる、それを。
何をやと、近付き、拾い上げる。
「――…ベラ?」
己が口から洩れた言葉に、驚く。
その名を声にしたのは、一体何時以来であったか。
そして、その名を発した事自体に、困惑していた。
「…人形、か。」
山吹の服に包まれたそれは、瞳を閉じたまま。
けれどそれが、自律人形 であることを、理解する。
お誂え向きに、その鍵たるネジ巻きも添えられている。
だが、勿論の事。
道に落ちていた、正体のわからないものを起動するなど、在り得ない。
その程度の用心は、持っていた。
いや、その用心こそが、自身を生き永らえさせていた。
だが、不可解にも。
それを動かすべきだと、そう感じていた。
何か、理由を見繕うならば。
「君は、好奇心の塊の様なひとだったね、イザベラ。」
きっと、漏れ出たその過去 なのだろう。
きりきりと。
きりきりと、ねじが巻かれる。
やがて山吹の人形は、その瞳を開く。
開かれるのは、何時以来か。
細い、細い、幼い声で。
ネジ撒く腕から、その顔を見上げながら。
「――…似合わないのだわ。」
困った様に。
或いは、何処か嬉しそうに。
男は、被った帽子に、手を掛けた。
歩き、歩いて、歩いた、果て。
時は終わって、歩みは止まる。
それはきっと、冒険の終わり。
見知らぬ道を、歩き続けて。
見知らぬ空に、見下ろされて。
伏した地からは、見上げることも出来ないまま。
ゆっくりと、終わる。
後悔は、無かった。
渇望も、無かった。
人形にとっては、この冒険が。
この冒険だけが、自分達の存在の証だったから。
だから、その終わりを、静かに受け入れる。
ゆっくりと、静寂とひとつになる。
― ― ―
― ―
―
歩いていた。
何時か歩いた、その道を。
それは、思い出と呼べる程のものでも無い。
過去となった人達の、記憶。
道すがらに、それを見る。
地に転がる、それを。
何をやと、近付き、拾い上げる。
「――…ベラ?」
己が口から洩れた言葉に、驚く。
その名を声にしたのは、一体何時以来であったか。
そして、その名を発した事自体に、困惑していた。
「…人形、か。」
山吹の服に包まれたそれは、瞳を閉じたまま。
けれどそれが、
お誂え向きに、その鍵たるネジ巻きも添えられている。
だが、勿論の事。
道に落ちていた、正体のわからないものを起動するなど、在り得ない。
その程度の用心は、持っていた。
いや、その用心こそが、自身を生き永らえさせていた。
だが、不可解にも。
それを動かすべきだと、そう感じていた。
何か、理由を見繕うならば。
「君は、好奇心の塊の様なひとだったね、イザベラ。」
きっと、漏れ出たその
きりきりと。
きりきりと、ねじが巻かれる。
やがて山吹の人形は、その瞳を開く。
開かれるのは、何時以来か。
細い、細い、幼い声で。
ネジ撒く腕から、その顔を見上げながら。
「――…似合わないのだわ。」
困った様に。
或いは、何処か嬉しそうに。
男は、被った帽子に、手を掛けた。