Eno.19 山吹く空に、人形は  記録05_羽搏き - トイランブル

―― Time Code : 01304511d

その歪な身体は、少なくとも人形の何倍以上も、重さはある。
扉をこじ開けるにも、足りる程に。
数枚を、開いた先。
其処には、空があった。

窓の隙間は、ただの光だった。
初めて見る、空は広がっていた。
少しだけ、そのまま、泳ぐ雲を仰いでいた。

細い鳴き声が、私の袖を引く。
これから、如何するのかと。
私は、私達は、あの暗闇しか知らないのだから。

でも、だったら。
この空は、私達の知らない世界だ。

――飛ぶのだわ。

何処までも広がる空を。
何処にも行けなかった私達は。

――おまえには、翼があるのだわ。

歪な、歪な、その翼は、左右で形も、数も違う。
だけれど、それは、そのためにある。
細い鳴き声は、戸惑い。
けれどきっと、知っている。
空の飛び方を、知っている。

蠢く様に、身体を、翼を、捩り。
漸く、羽搏きの動きを為す。
見ていた私を、持ち上げて、背に。
それが、当然かの様に。

そして、助走の様な数歩。
私達は、空を。








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