Eno.19 山吹く空に、人形は  記録04_黒い鎖 - トイランブル

―― Time Code : 01304330c

薄笑いは、告げる。
実験は、観察は、終わりなのだと。
僅かばかりの興味は、僅かばかりの成果に、尽きた。

もう用は無い、と。
私に、このガラクタ置き場に告げて。
扉が閉まる。

知っている。
扉を開く事は、もう二度と無いのだと。

だけれど。
私のねじは、未だ。

何時もの様に。
よじ登った先の窓から、光を蹴り開けて。
鉄格子の前に、歩く。

細い鳴き声は、もしかしたら、自分の、いや、私達の状況を、理解している。
隙間から、その領域に入り込み、繋がれた黒い鎖を蹴る。
幾度も、幾度も、金属の音がする。
だけれど。
人形程度の重さに、鉄枷はその役割を放棄しない。

細い鳴き声は、しかしその言わんとすることを、私は無視する。
一瞥程度、また鎖を蹴る。
鳴き声と、鉄の音が、何度混じるか。

不意に、視界が回る。
暗い床に、倒れる。

嗚呼、そう。
私のねじは、尽きたか。

鳴き声が、窺うけれど。
答えることも無く、闇に身を任せる。
そうすることしか、出来ないから。






― ― ―


― ―









聞こえる。

聞こえる。

きりきりと。
きりきりと、ねじが巻かれる。
その歪な身体で、小器用に。
私のねじを、巻いている。
足元に、鉄枷の残骸を散らばらせて。

――やれば出来るのだわ、おまえも。

細い鳴き声は、私の言葉を肯定した。








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