Eno.383 ナルヒェン・ガレルトラル  思考を重ねる。 - トイランブル

 此処は奇妙だが実に平和である。
 少なくとも、禁忌の術を利用した者を人で無いとして襲って来ない位には平和である。
 平和故に話し掛ける様な者も存在するが、其れは別としておこう。――狂信者は別だが。
 兎に角、平和だ。

少しばかり物足りなさがある。其れ自体は仕方ない事だ。

「――嗚呼


「――燃やし足りない……」


「――もっと根本が! ナゾ程度では!


 己の欲望を全て見せる訳にもいかぬ。自身の欲望を制御出来ないのも問題だ。制御する為には、ある程度満たす必要がある。でなければ、狂気に陥るであろう。
 私のは欲望から成る火であり、物質、非物質を問わない。何もかも、燃やせるならば燃やす迄。燃やせなくとも燃やす。
 此の欲望は、願望は、渇望は、ありとあらゆるものを燃やせたとしても満足する事は無い。満足は停滞であり、発展を止め、やがて、思考を止める。
 ありとあらゆる物事に満足してはならない。術者は更なる高みへと向かう必要があるのだから。
 歩みを止めてはならない。
 到達点の先迄、歩みを止めてはならない。

 しかし、人生には限界がある。
 腹立たしい事だ。

どうして、限界を作ってしまうのか、理解に苦しむ。 其の限りを、限界を消したい。私は不老不死に成りたい。歩みを止めたくない。

 人生の限界を超える為には、禁忌の術は役に立つが役に立たない。
 其れは延命にもならない。
 既に私の半分は捻じ曲がっている。
 此の術を使ってから渇望を酷く感じる。
私は欠損している。

「其れは生きる為だった。」


「でなければ、死んでいたのだから!


 半分人間であり、半分何かで出来ている。
 其の何かは、不明だ。
 材質は欠損した私であると言うのに。

 其れでも、私は歩まなければならない。

 欲望の為に。
 探求の為に。

 満足しない為に。

 私は探し求める。








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