Eno.322 恋路 六六  【記録】箱舟の青空教室⑤ - せせらぎの河原

ラクヤス
「──例えば、『100回しゃっくりをしたら死んでしまう』という話が
 あるでしょう?」


クルフィ
「えっ…………」


ラクヤス
「…………、失礼。
 そういう"迷信"があるのですが。

 しかし、実際に100回しゃっくりをした人が
 自分の目の前で次々と亡くなってしまったら、
 いくら荒唐無稽でも恐ろしくなったり、
 気分が悪くなったりしませんか?」


クルフィ
「たしかに そうかも……」


ラクヤス
「東洋で発達した『易』は、専ら戦争に用いられてきましたが、
 天龍との争いの中で発展していった側面もあります。

 彼らは方位に運勢を定め、
 時には目的地に辿り着くために、大きく迂回するような事をして、
 しかも、国を治める統治者たちはみんなこれを守りました」


クルフィ
「えぇ……」


ラクヤス
「不合理ですよね。
 しかも、これは人間が勝手に作り出したものであって、
 龍には知る由もない事です。

 しかしながら、龍が運勢を司る以上、
 勝手なルールの押し付けであっても、
 多くの人間がこれを固く守っている限り……、
 一定の影響は免れません。

 つまり彼らは、運気を運ぶ存在であるが故に、
 またそれに纏わる悪影響や呪いを受けやすいという存在でもあるのです」









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