Eno.33 半分屋のグレゴリー  1:weigh - くらやみの森



何時でもグレゴリーの味方だと言った両親の言葉が、守られる事はもうありませんでした。



グレゴリーの背が庭の植木より小さい頃から、グレゴリーの中には“人には分からない天秤”がありました。
それは何を載せても良く、何でも載ってしまう不思議な天秤です。
それがどちらかに傾くと絶対に何かが起こるという事をグレゴリーは知っていました。

そして何かが起こる度に、グレゴリーは痛みという形で何者かから仕置を受けるのです。

だからそれが傾かないように色んなものを削り半分にして。
グレゴリーはその均衡を保つ事が癖になっていたのです。

もしも崩れてしまったら、まるで世界が壊れてしまうような気さえしているのですから!









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