Eno.5 鳴神  電子通信01 - たそがれの頂

音声
「雷神サマ~。ソラニワ着いた?」

鳴神
「…………。」


ふと、手持ちの無線機に通信が入る。
遠く離れた仕事仲間からだ。

鳴神
「とっくに着いている。
 私一人で上手くやるから気にするな。」

音声
「そーお?
 あ、ていうか聞いて、今僕が居る世界のホテルすごいよ。
 近くにロックフェス会場があって、格好いいお土産屋さんも……」

鳴神
「用件はそれだけか?切るぞ。」


…… ……

庭園からの招待状が届いたのは、今から1週間ほど前の事だった。

なぜ旅行が好きなお前風神ではなく私宛なのか、
どうやって雲の上まで招待状を届けたのか。

考えれば考えるほど謎は深まるばかりだが、状況を判断するにはまだ早すぎるのも事実だ。



夜更けに庭園全体を見渡せる頂まで登ったところ、
霧の中で不思議な出会いがあった。

ふわりと宙に浮く、ちいさな羽。落ち着く気配。

…この場所を選んで良かったな。








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