Eno.5 鳴神  電子通信02 - たそがれの頂

音声
「雷神サマ~。おはよ~。」


二人で体を休めた日の早朝。

手持ちの無線機に、何やらホログラム映像が送られてきた。
覗き込んでみれば、見慣れた顔の仲間──風神の姿が映っている。



鳴神
「私が持ってるのって無線機じゃなかったの?
 どういう技術なんだこれは」

冬嵐
「何でもいいでしょ!
 カミサマなのに細かいこと気にしてたら……ぴえんだよ。」


まだ時刻は早い。
隣の様子を確認し、慌てて無線機の音量を下げた。

鳴神
「正しい言葉遣いをしなさい。
 …それで、本題は何なんだ。手短にな。」

冬嵐
「フツーの定時連絡だよ。
 雷神サマ、最近ソラニワでどう過ごしてるかな~って思って」


突如、通信に乱暴なノイズが混ざる。

コンビニ店員
こらああああ!!!うちの店のレジで何やってるんじゃあああああ!!!!

冬嵐
「あ、怒られちゃったからまた今度にすんね。
 ちなみに僕は元気だよ。じゃあね~。」


…… ……

まるで一夜の嵐のように、あっという間に通信は途切れた。
何でもない用件の連絡である事にほっとしたり、今後の事を考えたり。

鳴神
「ルロキルの事は……こいつ風神には話さないでおくか。
 必要以上に騒いだり、妙な野次入れてきそうだからな」

鳴神
「何はともあれ、大切な約束は目の前だ。気を引き締めていこう。」


ひとり、静かに頷いて。
朝焼けが淡く揺らめく空を眺めていた。













音声
「……あ、もしもし。雷神サマ?」

音声
「もうひとつだけね。言い忘れてたんだけど────」

 








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