Eno.5 鳴神 電子通信02 - たそがれの頂
音声
「雷神サマ~。おはよ~。」
「雷神サマ~。おはよ~。」
二人で体を休めた日の早朝。
手持ちの無線機に、何やらホログラム映像が送られてきた。
覗き込んでみれば、見慣れた顔の仲間──風神の姿が映っている。
鳴神
「私が持ってるのって無線機じゃなかったの?
どういう技術なんだこれは」
「私が持ってるのって無線機じゃなかったの?
どういう技術なんだこれは」
冬嵐
「何でもいいでしょ!
カミサマなのに細かいこと気にしてたら……ぴえんだよ。」
「何でもいいでしょ!
カミサマなのに細かいこと気にしてたら……ぴえんだよ。」
まだ時刻は早い。
隣の様子を確認し、慌てて無線機の音量を下げた。
鳴神
「正しい言葉遣いをしなさい。
…それで、本題は何なんだ。手短にな。」
「正しい言葉遣いをしなさい。
…それで、本題は何なんだ。手短にな。」
冬嵐
「フツーの定時連絡だよ。
雷神サマ、最近ソラニワでどう過ごしてるかな~って思って」
「フツーの定時連絡だよ。
雷神サマ、最近ソラニワでどう過ごしてるかな~って思って」
突如、通信に乱暴なノイズが混ざる。
コンビニ店員
「こらああああ!!!うちの店のレジで何やってるんじゃあああああ!!!!」
「こらああああ!!!うちの店のレジで何やってるんじゃあああああ!!!!」
冬嵐
「あ、怒られちゃったからまた今度にすんね。
ちなみに僕は元気だよ。じゃあね~。」
「あ、怒られちゃったからまた今度にすんね。
ちなみに僕は元気だよ。じゃあね~。」
…… ……
まるで一夜の嵐のように、あっという間に通信は途切れた。
何でもない用件の連絡である事にほっとしたり、今後の事を考えたり。
鳴神
「ルロキルの事は……こいつ には話さないでおくか。
必要以上に騒いだり、妙な野次入れてきそうだからな」
「ルロキルの事は……
必要以上に騒いだり、妙な野次入れてきそうだからな」
鳴神
「何はともあれ、大切な約束は目の前だ。気を引き締めていこう。」
「何はともあれ、大切な約束は目の前だ。気を引き締めていこう。」
ひとり、静かに頷いて。
朝焼けが淡く揺らめく空を眺めていた。
音声
「……あ、もしもし。雷神サマ?」
「……あ、もしもし。雷神サマ?」
音声
「もうひとつだけね。言い忘れてたんだけど────」
「もうひとつだけね。言い忘れてたんだけど────」