Eno.113 メリジェ  15:精霊が届ける手紙 - まぼろしの森林

闇の精霊が先導して、
光の精霊が雲の中を照らす。
炎の精霊が気流を発生させ、
水の精霊は雨を弾く。
地の精霊がよく飛ぶ重心をつくり、
風の精霊は、ただひたすら加速させ。

一通の紙飛行機が夜を征く。
嵐の雲を突っ切って、まっすぐまっすぐ進んでいく。
やがて月と星が迎える。
一筋の雲を残して、紙飛行機はその場所へ。
夜の支配するあの城へ。

城下には星屑を集めた街灯が灯り、多くのヒューマンが暮らしている。
街は賑わい、本の売り買いをする市場が並んでいる。

それすらも、突っ切って。

紙飛行機は魔王城へ。
この世界を見守る、大図書館の主の執務室へ。

夜の色をした指がそれを開けば、
精霊たちを労るように。





「メリジェよ。
 その願い。確かに、聞き届けたぞ」








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