Eno.305 クロタネ  おにいちゃんのはなし - ひかりの森

茉莉夏まりか兄ちゃんは、すっごく優しくて
いとこだけど、本当のお兄ちゃんみたいに、いっぱいあそんでくれた人。

茉莉夏兄ちゃんは、市役所ではたらいていて、
日本のでんとうとか、芸じゅつのイベントをたんとうしてたんだ。

それから、お友だちをよんで、ボランティア活動をみんなでしてた。
茉莉夏兄ちゃんも、オレとおんなじで、
お父さんも、お母さんも、芸術家のおうちだった。

だから、そういう知り合いもおおかったみたいで、
イベントのときは、いつもオレをつれていってくれた。

そのときは、おさななじみの、すーちゃんも一緒だった。

花火を作る人
切り絵をする人
絵本の読み聞かせ
刀をつかった芸だとか。

みんなすごかった。
オレは、いっつもあこがれて、色んな人に、いろんなお話きいたっけ。
みんな、やさしくて、オレにいろいろおしえてくれて。

ボランティアのみんなが、だいすきだった。

茉莉夏兄ちゃんは、ちょっとむずかしいかおをして、


「別に、周りが芸術系だからって、オレの名前
 芸術系のお仕事つかなくてもいいんだぜ?」


なんていってきた。
オレは、その時は、むっとして、

好きだから、そうなりたい!げいじゅつかになりたいよ!
作品をつくりたい!なんて、いったけど

あとで、知ったお話は、
茉莉夏兄ちゃんは、げいじゅつの道をあきらめて、
役場のおしごとについたってことだった。

センスがなかったから、っていってたけど
オレはそんなことないっておもったし、
茉莉夏兄ちゃんがおしえてくれた、かげえは、すっごくて
かっこよくて、きれいだった。

ねえ、オレもさ。
いま、すっげー作品つくってるよ。
みんなからおしえてもらったこと、いかしてさ。

“あの日”は作品がうまくつくれなくて、すっごくなやんでいたときもあったし
当日、うまくできなかった花火あげたときは、
やっぱりすげーくやしかった!

だけど。

だけど、いっぱい色んな人が協力してくれて、
おっきな花火大会をひらくことになって、
なんだか、みんなみたいになった気分で。

すっごく、いろんなひとたちにありがとうをつたえたくて、
思い出をのこしてほしくって、
ぜーんぶの、おもいを作品にしたい!

オレ、がんばる。

いっぱいなんか、かいちゃった。
このあと、お手紙もかくんだ~。

おやすみなさい。








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