Eno.113 メリジェ  14:ふたりだけの言葉 - まぼろしの森林


「……はらぺこちゃん、聞いてえ」



「あたしはねえ、故郷のことが大好きなんだあ」



「いろんな種族が仲良くしてて、
 いろんなひとたちが、
 メリジェのことを愛してくれてるんだよお」



「あたし、知ってるのお」


「オズくんには、都会で働いたり
 家族を持たないかって話が来てるけど、
 断ってること」


「ロザリーちゃんが、
 あたしたちと少しでも長生きしたくて、
 魔女さんに弟子入りしたこと」


「ふたりとも秘密のつもりだろうけど、
 ちゃんとわかってるよお」



「お父さんが、ヒューマンの街で
 つらい思いをして流れ着いたってことも」


「……お母さんが、エルフにしても、
 長生きなほうなことも……」



「今までは、平和って……
 当たり前みたいにあるものだと、思ってたよお」


「だけど、そうじゃないんだねえ。
 ここで色々お話したり、
 手紙で昔の話を聞いて、わかったよお」


「そして、やさしさと、穏やかな気持ちが
 どれだけ尊いものなのかってことも」



「……あのね」


「あたし、じっとしてられない。
 したいことがあるのお」


「手伝ってくれる?」


ランドラは、こくりと頷いた。









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