Eno.472 ふるる  少女の夢 - せせらぎの河原

夢を見ていた。
パパとママが出会ったこの場所で、自分もパパとママのような奇跡が起きるかもしれない。

夢を見ていた。
パパとママのように、お互いが唯一だと言える相手に出会えるかもしれない。

夢を見ていた。
パパとママのように笑って、幸せに大切な人と暮らせるかもしれない。

小さな女の子がお伽噺に憧れるように。
自分にもいつか王子様があらわれるかもしれない。

自分の誕生石によく似た石で作ったこのチョーカーを、いつか渡せるときが来るかもしれない。


そんな夢を見ていた。
それは幼い少女の本当の願い。


チョーカーはキラキラ輝いて。
愛用の宝剣が置かれている。
変わらないこの部屋に。


……部屋の主だけがもういない……。


ふるる
「大丈夫、ふるるは幸せだから!」









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