Eno.534 玲沙  料理と銃と熊と雨 - たそがれの頂

生憎の天気だったが、探索は豊作な方だったと思う。
昨日は殆ど拾えなかった可燃物に恵まれた。
それで漸く、料理や武器製作ができるようになった。
文明の象徴とはいえ、火を起こせなければ何もできないのがもどかしい。

Hanacoカードで作れそうなものを調べていたら、狙撃銃が作れそうだったので試しに作ってみた。
私は銃など扱った事はないが、丁寧に使い方も載っていた。
今のところはこの銃を携えて行けばいいか。
……私より上手く扱えそうな者は多かろう。望まれれば譲る事も考えよう。

今日はきちんと休んで、また明日から頑張ろう。



もふもふの羊に戦闘応援を頼まれた。
相手はクマだった。

クマだった。


……よく勝てたものだと思う。
同行者が優秀だったのだろう。
ひとまず、彼の羊が無事に突破できていたようで何よりだ。
私ももっと動けるようにならなければ。



「なーちゃん」という幼子から、綺麗な花を貰った。
頑張って育てたのだろう。よく咲いていた。
私の戦い方に合う効果を持つ花だった。

お礼に、グリルチキンを作って持って行った。
彼女は大層喜んだ。
「つーちゃん」という連れと仲良く食べてくれたら嬉しい。
よく食べ、よく遊び、よく眠れば丈夫な子になるだろうか。

小さき命は微笑ましい。



雨の夜、ゼェーレと話した。
彼は雨が嫌いだと言っていた。
長く生きていれば色々あるだろう。
出会いも、別れも、常人より遥かに多く経験してきたのだろう。

彼は優しい。
故に傷付きやすく、脆い。
その脆さをひた隠しにして、威厳を保とうとする。

彼がもっと楽に生きられるようになればと思う。
尤も、彼に対してそう思うのは却って酷かもしれないが。

最終的には立ち直ったが、また翳りが見えた時には話を聞こう。
私は彼の友人なのだから。

 








<< 戻る