Eno.405 逆さの魔女マサカマ  【閑話】銀の剣を掲げ血の道を記す - くらやみの森

 らは銀の剣を掲げ、血の道を記す。



 
「            」


 それは既に沈黙した、動く事のない液体の銀色となった。

マサカマ
「今回も途中で寝ちゃったな……
 ついぞ面白くはしてくれなかったから、仕方ないか」


 女は通算78回目の会話を終えた。
 本当に78回だっただろうか、もっと多かった気もしている。
 話の内容はもう覚えてしまった。
 毎度途中で寝る不良な生徒であっても、何度も聞けばいい加減に覚えるものだ。

 複製体はもう何度もこうして同じ話を続けている。
 同じように歩いて、同じように焚火を灯して、同じように睨みつけて。
 複製の魔法は効果が切れた時、こうして銀の液体と朱色の液体を残す。

 魔女狩りは最後には液体に戻ってしまう。
 魔女の殺し方は知っていても、自分の末路は知り得ない。
 ターゲットの魔女の心臓を潰すまで、不要な魔法を狩るその時まで
 魔女狩りは歩き続ける、それが無為であったとしても。

マサカマ
「どうでも良いから聞いてやってたけど、
 本当に飽きて来た……」


 殺し方を知らずに来る魔女狩りは居ない。
 例え失敗したとしても、殺し方さえ心得ていれば、残基が無限の魔女狩りは魔女に負けない。
 もし、魔女狩りの一個体が死んだとしても次が殺せばそれでいい。

 普通の魔法を使えるだけの女を魔女狩りは殺せなかった。
 既に心臓本質は潰れている、逆さの魔法自体は死んだ。
 既に死んでいるものをもう一度殺すことは出来なかった。

 余剰であっても複製は続けられた。
 多いことは良いことなのだから。



マサカマ
「何が不要な魔法なのかの基準、聞けなかったな……
 聞けたら納得してやっても良かったけど」

マサカマ
「"こんなの"が歩き回る世界にしちゃった、
 複製の魔法の方がよっぽど危ないんじゃないかな……」

 








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