Eno.68 ユッカ・センチュリー  竜のお話 - あざやかな花園

私の生まれた国の下には竜が眠ってる。

その竜はとてもとても強大なリーフドラゴンだったらしい。

竜はこの一帯を縄張りとしており、近づく者には大きな目で威嚇をするため誰にも手出しができなかった。

しかし、生物である以上はいずれ終わりが訪れる。

長い時間を生きた竜もやがてその縄張りで息絶えた。

竜の死骸はその身に膨大な新緑の魔力を蓄えていたためか新芽が育ち、あやがて木が生え大きな森となった。

この国に緑が多くあるのは竜の残した魔力のおかげなのである。




「これが私の生まれた国に伝わるお話。」



「私も他の緑と同じで竜によって出来た国に生える花の1つだった」





私の花は100年に1度咲く花だった。

運が良かったのか悪かったのか、私は人々の目に付きやすいところにその身を伸ばした。

人々は100年に1度咲くといわれる花を珍しがり、願い事を残すようになった。

『この花が咲く時、願い事が叶うんだって。』

人々はそう噂をしながら私に祈るようになった。

そうして集まった願いの力は2つの結果を生み出したの。

1つは私をヒトの姿に変えたこと。

2つは眠っていた竜の意識を呼び起こしたこと。

私の翼と尻尾はかの竜の名残。

でもそれを与えただけじゃなくて夢の中で竜は私に教えてくれる。





その竜はとても強くて、とても大きくて、そしてとても孤独だった。

人々や動物はその強大な竜を見て畏怖を感じ、近寄ろうとはしなかった。

竜の方から近付こうとしても、皆怖がって逃げてしまう。

でも竜は友達が欲しかった、愛情を向けてくれるヒトが欲しかった

でもついにその願いは叶うことがなかった。

夢の中で竜は嘆いて、願って、祈っていた。

『友達が、愛情が欲しい。』

そんな竜の声も聞きながら、私は咲くために願い事を集めた。

そしていつの日か招待状が届いて、面白そうだからってこの島に来た。






「この島で私に愛情持って接してくれるヒト達。」



「愛情をもらうと心の中が暖かくなって、それと一緒に蕾も暖かくなる感じがする。」



「咲くための最後のひと押しはもしかして愛情なのかも。」



「愛情をくれそうなヒトに、ちょっと甘えてみようかしら、なんて。」



「ん~!難しく考えるよりも行動してみましょう。」



「願い事や愛情をくれるヒト達に、恩返しも考えないとね。」









<< 戻る