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Eno.663 ジオグリス=エーレンベルク 残り香はそこになく - くらやみの森
夢を見た。
灰の道。溶けて腐った肉塊の散乱する。ひとの痕跡が残る場所。
遠ざかる灰の空を見上げながら、散らばるそれを踏みつぶして進んでいくような夢。
途中、足元に視線をやれば。変わらず青色がこちらを見ていた。
花の色に似た
視線。
視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。
自罰の影、そうあってほしいと願うばかりの幻影、罪の跡、
足元まで赤黒い波が迫ってきている。
青色が浮かんで、揺蕩って、自分を見ている。
波に流れてゆくようにゆっくりと遠ざかるそれを咄嗟に追った。
ざぶ、と音が鳴る。思いの外身体は動かない。
行かないでくれ、と叫んだ記憶がある。
いい加減最後の色に縋るのは止めなければならないと、わかってはいた。
わかるだけで、心が納得してくれない。
視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。視線。
背に刺さる責めるようなそれ。水かさは増して、目を運んでゆく。
俺のせいだ。
黒い水の中に手が見える。それが後ろに引き戻そうと、手を伸ばしている。
進むことをやめさせようと。
それは。それだけは嫌だと、無理矢理掻きわけて進もうとして。
離れてしまった青と目が合った。
遠くに浮かぶ青色は、あかい石となって浮いていた。
途端、「破ァ!!」みたいな叫び声が聞こえて、
上空から跳んできた竜の友人と妹が取りつく全てを吹き飛ばしてしまった。
ついでにそのまま妹に右で思い切り殴られて。
目が覚めた。
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「……」
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「なんか……夢見た気が……」
思いの外熟睡していたらしい。
確かに何か夢を見た。
ぼんやりとだけ記憶に残る、あっけにとられる感覚。
それ以外はあまり記憶にない。
握り込んでいたあかい石のついたリボンを離す。
布団から這い出した後、枕元に転がる青色に視線を落とした。
変わらず俺を見返す視線は、こっちを見ていないでさっさと顔でも洗えと言うような。
そんな目で見返していた気がする。
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「……」
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「いやほんと、なんで森で布団敷いて寝たかなあ……」
呆れの視線が刺さる。
どうやら、そうあってほしいらしい。
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