Eno.32 名無しの少女  00 - ほしふる洞窟

 何代か前の  は、行方知れず。先々代の  は、その役目を果たして討たれた。
先代は――恐らくだが、 " 抜け道 " を見つけたのだろう。  であり、ヒトの身であるならば。その変則も頷ける。

 そんなこんなで。空白となってしまった、  という席。だから、己が新たに生まれた。
少しばかり、周期が早いような気がしなくもないが……まあ、そこは『神のみぞ知る』だ。
 生を受けたからには、我が父の望み通りに役目を果たそう。――ただし。

「幕引きの英雄を選ぶくらいは、許してほしいな。
それが許されないのであれば最初から、 " 僕 " というものは必要ないだろう?」

応えがないことに、小さく笑って。舞台の上へ降り立った。








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