Eno.322 恋路 六六  【記録】双魚の記憶③ - ひかりの森

日本に流れ着いて、(龍の時間感覚で)しばらく経った頃、
私は件の道士に再戦すべく、再び故郷の土を踏んだ。

去れと言われた土地ではあるけれども、
誓いの破棄を目的に来るなら、不義理にはならないはずだ。


そうして大陸の様々な地を訪ね歩いた結果……、
かの道士に再び会う事は叶わなかった。


去り際に見上げた故郷の空は、
昔と同じくらい蒼く、雄大で。


けれど、そこに生きるもの達の絶えた、寂しい空がどこまでも広がっていた。








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