Eno.206 リモネ  Rotten Witch - ひかりの森

―昔々、魔女の力は秘薬によって引き継がれていた。

おおよその魔女は、薬を作るのが得意だった。

己の魔力や知識を薬に詰め込み弟子に飲ませれば、

その弟子も魔女の力と叡智を授かるのだ。


毒薬の調合を得意とする年老いた魔女がいた。

その魔女と弟子はとても仲が良く、互いを大事に思っていた。

魔女は弟子の為、丹精を込めて魔女の秘薬を作っていた。

しかし弟子は気付いてしまった。

長年生きた魔女はいつもの癖で、秘薬に毒を入れたこと。

眼も鼻も衰えた魔女は、最大の過ちに気付かなかった。


弟子は嘆き、悩んだ。魔女の毒を飲んだら、いくら弟子でも死んでしまう。

年老いた魔女にはもう時間がない。

少しでも多くの叡智と魔力を弟子に遺さんと、すべてを薬に費やしたのだ。

……弟子は魔女の為、その薬を飲み干し、魔女となった。

そして師に、無事に魔女となったと告げた。

年老いた魔女は何も知らぬまま穏やかに息を引き取り、弟子の体は、毒で溶け始めた。


"Rotten Witch 魔女の毒薬"
"Rotten Witch 飲み干した"
"Rotten Witch 身体が溶けて"
"Rotten Witch 苦しんだ"

 "己の死は恐れても"
 "己の師は恨めずに"
 
"Rotten Witch 魔法をかけた"
"Rotten Witch 心を溶かし"
"Rotten Witch 師の墓の傍"
"Rotten Witch 息絶えた"

嘘か誠かもわからぬ寓話は弟子を持つ魔女に広がった。

そして、
いつからか、魔女の引継ぎは早いうちから。薬ではなく主に料理をつかって行うようになった。

リモネ
「きょーくんって事かな…?
 ちょっと怖いお話だね!」









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