Eno.564 ラズ  日中、暗がりで休む前のこと - くらやみの森

ラズ
魔族私達は、魔力が尽きれば体を保てず。
 吸血鬼私達は、血を飲まねば渇きを満たせない」

ラズ
「故郷ではどちらも不便に感じたことなどなかったが……。
 出先で少し魔術を使うだけで、こうも不自由を強いられるとは」


溜め息ひとつ。
空になった携帯食料魔女の血液の小瓶に指をかける。

ラズ
「ただの観光なら多少の消耗など気にする必要もないというのに。
 魔力が自然に回復しないだけでこの様か。
 まったく、飲まなければやっていられない」


幸い、持ち込んだ食料血液はまだいくらか残っている。
普段よりも消費ペースが速い以上、いつまでもつか分かったものではないが。

程度としては単なる空腹、命に係わるような消耗ではない。
この地への好奇心を、探索の足を止める理由にはなり得ない。



ラズ
「まぁ、料理や酒嗜好品には事欠かない場所だ。
 物理的に腹を満たせば口寂しさも紛れるだろう」









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