Eno.676 ✿ #003 貝 - ひかりの森
草むらの中に巨大な貝があった――なんて、ふざけた話は大通りでぼんやりしていたら聞こえてくるもので……
そしてそこまでの道は軽く整地されているとのことで、焼酎の材料などを調達するついでに見に行った。
まあ、噂のまま巨大な貝としか言いようのないものでした。
すっごいでかいの。それ以上もそれ以下もないけどとりあえずでかい。でも現状それだけ。
「……」
私よりもずっと抑揚のある声で喋るアンドロイドに相槌だけを返しながら、とりあえず必要最低限のお勤めは果たしただろうと一息つく。
流れのまま空藻集めの依頼まで引き受けてしまったけれども、ひとつ目は貝に近付く前に見つけたから、残りはまた気が向いたら探そうと思う。
「休んだら一番目のシェルまで戻って、北かな~……理由?」
「別にないよ。なんとなくってやつだ」