Eno.169 世界を彩る華麗な仙境の娘  7.タンポポ - あざやかな花園

荷物整理してたら、温泉に誘われたから、ヴァーディクトさんと温泉に行った
天上界なんて四季はほとんどないから紅葉もないしすごく新鮮だった。



ひっそりとした誰もいない温泉。
彼女のことはまだ探せていないのにこういうものは探すの得意、たぶんね。

一緒にお風呂に入って、話したりとか、勝手にお花だしたりとか
アンテナ?はずすと頭の上何もないの寂しいなとか。
勝手に桃の花冠作って載せてみたりとか。



そういえば、ヴァーディクトさんに何をしても怒られたことないな~
優しいよね。



天上界の下界の時間の流れの話を偽りなく伝えた。
その後急に腕を掴まれてびっくりしたりしたけど、
あのときのわたしは冷静にお話しできていたかしら。

自分がどんな顔をしているかも、
あなたがどんな顔をしていたかも覚えていないわ。


いや、時間の流れより。それよりも。
そもそも、わたしはちゃんと自分が何者なのかを伝えていない。
たくさん優しくしてもらっているのに、本当の自分を明かしてないわ

もし、伝えたら
遊んでもらえなくなっちゃうかしら

完全な嘘ではないが、本当は天女という枠には収まることはないこととか
探索中に毒を賭けられることが多くて、結構力を消耗しているとか
なくなってしまった力を緊急回復をするための方法はあるけれど、頼りたくないとか
ずっと、天上界人以外の味をしりたいのも

ぜんぶ、知られたら。

長年生きてきて、怖いって思ったことなんて
はじめてかも。


帰った後に一人で考えてみたけれど。
……ヴェシカちゃんには慣れているからつらくないなんて言ったのは、
それはそこまで思い出があるわけじゃなかった という理由なだけで
同じ色の宝石を詰めたら、寂しくなってしまうときがくるのかも

そうなるのなら、わたしは。








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