Eno.472 ふるる  親の気持ち、子の気持ち - せせらぎの河原

鬼の里に行って、日を置いて次は西、南、北。
コエクシスの国境とされる場所へ全部歩いて行った。
その度にママにお尻ぺんぺんされた。
家出するって、何日も帰らないから当然なんだけれど。

「ふるるは今日も国境まで歩いて行ったのか?」
「えぇ、リコの報告だとそのようです」
「そうか……いつも怒らせる役を任せてすまないな」
「いえ、両親とも怒ってしまっては、ふるるの泣く場所がなくなってしまいます、ですからドニゲルキ様はどうぞそのままで」
「あの子は……ふるるはもう国の上に立つものの自覚が芽生えているのだな、国境に赴くとはそういう事だ」
「少し、早すぎる気はしますけど……あの子なりの考えがある事だと思います、もう少し自由にさせてみましょう?
お尻ぺんぺんはしますけどね、ふふっ」

今はパパとママが元気で、この国も平和で、みんな笑ってて。
でも、変わらないものなんてないから。
何が起きるかなんてわからないから。
ずっとずっとこの平和が続けばいいと願っているけれど。

その平和を続ける為の努力をしない言い訳にはならないから。

ふるる
「今日はどっちの方向へいこうか、ほーまちゃん」









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