弟が異世界へ冒険にいくという報告を受けた。
　まだ実戦経験も少ない弟だ。人ととの関わりも薄く、精神はまだ成熟していない。
　なまじ知識だけがついているせいで、自律も危うい状況だ。
　誰かがついていかなければならない。
　私は即座に立候補した。弟のことは大好きだし、よく知っている。
　だからこそ、手綱を握る役目を果たすには私が適任だと。

　錬金術師としての活動は一時休止。魔法講師の職は退任し、持ち物も滞りなく用意した。
　ファッションは……どうしようか。折角なら見栄えの良いものを着ていきたいな。
　それと、研究の準備もしなくては。折角の異世界だ、私の欲を満たすくらいはいいだろう。