Eno.676 ✿  #001 聴従 - はじまりの場所

この記録は11/23 23:12投稿【https://soraniwa.428.st/sp/result/700.html】#001 聴従を再録のため微調整したものになります。

 
 小さなアンドロイドの指示に従い未知の島でなんやかんやして、今。
 なんやかんやの最中に拾った見知らぬ花の種も、なんやかんやの発端であるランドラが見つけた謎の土も件のアンドロイドに渡してようやっと一息ついた。
 アンドロイドの言う通り花の種くらいは、手慰みに育ててみても良かった気はするけども……


「つ、かれた……」


 誰の目も届かない、島の外を漂いながら膝を抱えて瞼を閉じる。
 地に足をついて歩くのは、人混みの中人にぶつからないよう歩いたのは、雑踏をあんなにも近くに感じたのはいつ以来だろう――なんて考えて何になるのか。こんなにも疲れている理由探しならば猶のこと。理由は明白で、けれども認めたくないもので、しかし何度考えたところで何も変わらない。


「……はあ」


 ……何もしていないなにもないことがたまらなく嫌だった昔の私ならばきっと今頃、嬉々として土に触って種を蒔いて、すぐには育たないと理解しつつも己の幼さを盾にその場でじっと芽吹くのを待っていたのだろう。そしてそれを彼――連れは苦笑しつつも時間が許す限り付き合ってくれたのだろう。


 愚かなことだ。








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