Eno.322 恋路 六六  【記録】箱舟の青空教室② - めざめの平原

ラクヤス
「──では、次は地龍の方を見ていきましょう。

 彼らは『龍脈』と呼ばれる地殻活動からエネルギーを得て、
 それを貯蔵する“龍殻を発現した様々な種族”です。

 つまり、龍殻さえあれば、どんな種族でも龍に分類されるので、
 クルフィのような、人の龍の他にも、虫の龍、ケンタウルの龍など、
 バリエーションが豊かになっていますね。」


ラクヤス
「ただし、供給源が地中にある関係上、
 飛行する生物に龍殻が発現する事はあまりないようです。

 それから、寿命についてですが、
 龍殻が発現したからと言って、
 急に種族としての寿命が伸びたりはしません。
 極端に寿命が短い種族以外は、ちょっと長生きする程度でしょう」


少女はまた、ふんふんと頷きながらノートを取っていたが、
それが終わると手元の図鑑を繰り始める。

クルフィ
「…………」


そこには多種多様な種族と、
それと同じくらい多種多様な龍殻の写し絵が躍っていた。

しばらくの間、木漏れ日の教室には頁を繰る音だけが響いて、
ようやく顔を上げた少女の眼には、
遠くからお茶の用意をして戻ってくる青年の姿が映った。








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