Eno.471 アニア・ナムティア  閑話 - Ⅲ - はじまりの場所





――こことは違う遠き領域。
『青の世界』、その性質について。






【結晶化】
『青の世界』に存在する特異な現象。
かつて太古の世界に繁栄していたとされる、謎の古代文明の遺された超技術の一つ。
自然界で起こり得るあらゆる力の現象を、大気中に存在する【魔素】へと固着・結晶化させることで
その物理現象や科学反応を固体化し、高密度のエネルギー体として永久保存を行う超技術。

今からおよそ100年以上前、とある古代遺跡にて偶然に発見され、
膨大な規模の研究期間と、それにまつわる数多の犠牲を経て技術の"復元"が成された。
その超常的性質は、今日において『青の世界』最大の文明の利器として広く活用されている。

結晶は『青の世界』に遍く万物の原理を「保存」する技術である。
"熱"の概念を結晶化すれば、任意に燃焼現象を引き起こす可燃剤として活用できる結晶が生まれ
"大気"の概念を結晶化すれば、様々な気体上の物質を、安全かつ高密度で持ち運ぶことができる。

この結晶化の現象はあらゆる性質を持ったものに作用するだけでなく
物理的な科学現象だけに留まらない、「時間」や「空間」といった
概念すら固体化させてしまう性質を持っている。


【魔素】
『青の世界』の大気中に膨大に存在しているとされる、未知の不可視物質。
【結晶化】の技術が解明される中で、新たにその存在が発見されたもの。
特定の技法を用いることで、この世界に存在する様々な力のエッセンスと結び付き
それをエネルギー結晶体として固体化させる性質を持つ。

『青の世界』に存在するあらゆる生命体は、この魔素に対する高い感応性を持っており
それが高まりすぎた場合、肉体と精神への重篤な中毒症状などを引き起こす。


 








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