Eno.435 トリサ  幕間 - いろどりの山道

―― 一方、運命の天啓亭。
冒険者パーティ、アルカーナムのある者の寝室。

トリサやペテンが所属する冒険者パーティ。ここでは半年ほどトリサの先輩に当たる冒険者たちが帰ってきていない。他のアルカーナムのメンバー、ティカ、ヴェレンノ、トリサ、テラート、ペテン、ヘキサスが宿で半ば諦めた状態で過ごしていた。
そこから更に、トリサやペテンが失踪したのだ。先輩冒険者とは違い、突然の行方不明。依頼を受けて、というわけではなく、あまりにも唐突にいなくなったため、彼女の仲間は彼女たちを探していた。
何か厄介なことに巻き込まれているのかもしれない。調査をするが、恐ろしいまでに『何も起きていない』。彼女たちが関わっていそうな黒い話の一つも聞かないのだ。





テラート
―― …………

テラート
神よ。トリサをどうか、お導きください

ティカ
「テラート様……すみません、お祈り中でございましたか」

テラート
「ううん、きっと『届いた』から大丈夫。
 報告を初めてちょうだい」

ティカ
「はい。トリサの居場所ですが……」

テラート
「掴めなかった。そうでしょう?」

ティカ
「…………はい」

テラート
「でしょうね。そこで、ヴェレンノの話が必要になってくるんだけど……
 ヴェレンノは何て?」

ティカ
「はい、あの男に聞いたところ――……」




ヴェレンノ
は? 異世界? 何のことだ?
 俺はそんなところ行ったことはないが。え、人違いでいらっしゃいます?」

ヴェレンノ
「あー……ただ、
 覚えのないデジャヴをよく感じるようにはなったかもしれないなあ……」

ヴェレンノ
「ほら、オズバートって冒険者の話しただろう?
 青い蝶と冒険者……以外、何にも覚えてないんだけどな。
 それ以外にもヨモギだとか、サンドイッチだとか。
 断片的に引っ掛かるものがあるんだよ」

ヴェレンノ
「別に日常生活に困ってないし、正体を暴く気もそこまで起きないが……
 もし何か分かったら、俺にも教えてくれよ」

ルジェ
ヨモギは喰わされる仲間が迷惑してるんだけど

ヴェレンノ
ごめんて




ティカ
「…………」

頭おかしい奴か――?
「…………」

テラート
「……そう。そしたらやっぱり、そういうことなのね」

ティカ
どういうことですか?
 妄想厄介男ってことしか分からなくないですか?
 ここから一体何の情報が得られるというんですか???

ヘキサス
「テラートはすでにトリサ失踪の凡その正体を分かってんでね?」

ティカ
この情報からそうなります!?!?

ヘキサス
「つーか、
 テラートがこの段階で正体が分かってねぇなんてことありえねぇだろ」

ヘキサス
「いくら街中を探し回ったとこで見当たらねぇ。目撃情報もねぇ。
 エナンらが帰ってこなくなって半年になっけど、
 あれとは状況が全然違ぇ。別件だな」

テラート
「そして、トリサが持っているはずの鎌の痕跡を追えない。
 ティカの霊力が籠っているもの、私が追跡できないはずがない」

テラート
「前例を確認した。じゃあ、後はその犯人を捜すだけ」

テラート
「厄介だわ。犯人の目星がついても、居場所が分からない」

テラート
「勿論、だからといって逃がすつもりは一切ないわよ」




ティカ
「あなた様のその顔は珍しいですね。怒っていらっしゃいます?」

テラート
「そうねぇ……
 あの子の意志でこの世界の外へ出たのなら構わないのだけれども、
 そうでないのなら」

テラート
私はあの子の感情の代弁を行うかもしれないわね

ティカ
「……その時は、お供しますよ」

ヘキサス
「俺も忘れんなよ、キヒヒッ」

テラート
「うん。ありがとう二人とも」

テラート
「さて。神様を問い詰めに行かないとね」

テラート
―― これはただの失踪じゃない。神隠しよ






一般通過ルジェちゃん
「…………」

一般通過ルジェちゃん
ペテンのことは?









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