Eno.494 運送屋  小休憩(再掲) - くらやみの森

⚠️小動物が天寿を全うする要素が含まれます


















「死んじゃってたの」

今朝学校に来たら、もう。
と、飼育委員の女子はしょんぼりした声でそう言った。

勿論、妙な死に方をした訳ではない。
オレ達が入学する前からこの飼育小屋に居たウサギが、寿命を迎えて死んだ。
それだけの事だ。
ウサギの命は随分と短い。人間と比べれば。

その後、ウサギの亡骸は埋葬する運びとなった訳だが。
誰も手を挙げず、話が進まなかったのでオレがやると申し出た。

小学校の体育館裏に、墓地があった。
歴代の飼育小屋の住民が眠っている場所だ。
まだ何も埋まっていない辺りに穴を掘り、ウサギを埋めて手頃な石を乗せた。
それから、少しの間黙祷を捧げる。

そんな事が、小学校在学中に3回程あった(内2回はウサギ、1回はクラスで飼っていたカブトムシ)。
動物達に大した思い入れがある訳でもなく、オレはその役回りに甘んじていた。
特に嫌でもなかった。



箱部 流荷は、そういう人間だ。








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