Eno.113 メリジェ 7:友達からの手紙 - まぼろしの森林
メリジェへ
ロザリーに手紙を見せてもらった。
郵便局員の仕事を精霊に取られたら、堪らん。
……だが、おれたちが易々と行けるような場所じゃないんだろ。
おれがペガサスならよかったが、生憎普通のケンタウロスだからな。
泣き虫のメリジェのことだから、高い怖いとぴーぴー泣いているかと思ってたが。
何だよ楽しそうだな。
聞けば、でっかいにんじんまで連れてるって? 非常食か?
おれ以外のケンタウロスとも仲良くなったのか。
お前重いんだから、間違っても乗りたいとか言い出すなよ。乗せる側はつらいんだぜ。
森は祭りの櫓が建ったところだ。
今年は1000年の節目の年だってんで、町長が言ってたけど、遠くの街から勇者も来るらしい。
お前の母ちゃんが一緒に魔王の城まで行ったっていう、あの勇者だよ。
……あれ、でもヒューマンは60年くらいしか生きないんじゃなかったっけ。
まあいい、お前の家族に直接聞いてくれ。
おれとロザリーは普段通り、
毎日仕事やら、修行やら、いつもの広場でだべったりだ。
お前がいないと、からかうやつがいなくて寂しいな。
土産は野菜にしてくれ。香りがいいとなおいい。
ケンタウロスのオズ