Eno.143 ファラウ・ティファイ  1.不死鳥の女王とおともだち - ひかりの森

1.不死鳥の女王とおともだち

 †††

 異界に来て、他の人たちと少し話した。
 ちゃんと話したのは勇者探しのひとと、リネットと。
 もっと色々と話してみたい。

 ミスティ……だっけ? 緑色の彼女。
 私のことを応援してくれた、一緒に頑張ろうと言ってくれた。
 私は勇者様かどうかは分からないけれど。
 ……嬉しかったことは、本当だ。

 リネット。色の付いた眼鏡を掛けた、クールな彼女。
 それはお前自身の意思なのか、と、痛い質問をした。
 そしてリネットも、私の友達になってくれた。
 ……ありがとう、君との交流も、嬉しかったんだよ。

  ◇

 私は建国の祖、シエーリオの生まれ変わり。
 だから彼の英雄譚をなぞるように生き、
 常に聖人君子であり、英雄的な動きをしなければならない。
 私の役目、私の使命。違えることは許されない。

 そのように思いながら生きてきた。
 聖女として城の中で大切にされてた頃も、
 女王となって、民を導くようになった後も。

──“ファラウ”なんて個人は、
 ティファイ聖王国には必要ない。


 それは違うよとユーシィもメリクも言ってくれてたけれど、
 私はついぞ、ふたりのその言葉を完全に理解は出来なかったんだ。
 そのように生まれたからそのように振る舞うだけなのに、
 それで皆、喜んでくれるのに。何が悪いんだい?

 誰もに望まれた女王に私は成るんだ。

──ならばこの、休暇が欲しい、お友達が欲しいなんて気持ち、
 いったい何処から湧いてくるんだろう。

──幼い女の子が、私の中で叫んでいるんだ。








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