Eno.371 リン  雨、のちに晴れ時々曇り - ひかりの森

雨が長く続いていたから楽をする為に物資交換をする事にした。

晴れになるまで拠点にいる者も多く、同様の考えになった奴が多いのか交渉作業は上々、
同時に数件の話が持ち上がる程にやりやすい環境だった。

そんな中、拠点内で妙なモノを作る子供が目に留まる。
いくつか同様のモノが吊るされていた事を思い出す。
楽して儲ける事に関係する可能性があったのでそれがどういった代物なのかを聞くと、
晴天祈願に関するモノだと答えが返って来た。

金にならないので興味を無くしたが、子供はそれを一緒に作ろうと提案してきた。
面倒な事を私がするハズも無いので軽くあしらい、物資交換作業に戻った。
子供はすぐに面倒な事を提案するから好きではない。



リン
「どうやら運が向いて来たようだな……」


とある取引募集を見つけた。二点限りの探していたモノだ。
他の交渉をしながらも、その取引を優先する事にしよう。
急いで交渉相手を探して声を掛けた。

……マルチタスクと確認を怠る性急さはミスに繋がりやすい。
まぁ、その、人違いをした。
しかもさっきの子供相手に。なんと無様な事か……

取引自体は上手くいった。それは残り一点となっていて、
あの子供がすぐに自分ではないと返事をしなければ成功しなかったであろう取引だ。

リン
「借りを作ってしまった……面倒事の種だ。早急に手を打とう」


私はてるてる坊主を作成して子供に渡した。
一緒に作らないと言っておきながら結局作る事になってしまった。
だが、借りを返すにはこれが一番手っ取り早いから仕方がない……



夕方頃になると天気が回復したので拠点を後にした。
武器や防具も新調し、食料も多く取引していたので探索は順調にいき
少し離れた所にあったシェルで一日を終える事にした。

シェルにはさっきの子供がいた。

リン
「しかも、むこうが先に居てまるで私が追って来たみたいじゃねぇかクソが!どうなってんだよオイ!」


せめて気がつかないでくれと思うよりも先に子供が寄って来た。早すぎる。最悪だ。
普段なら子供の相手なんかしないが状況が違う。
借りを返したと判断しているが、今はあまり強く出にくい相手だ。

名を聞かれたので観念して自己紹介を交わした。
その後、子供の仲間もシェルに到着した。
オマケにそのシェルは何故か五名以上の子供で溢れかえっていた。
流れで子守のようなマネをする事になった。
終わった。

リン
「私が何をしたって言うんだ……」


翌日の早朝、足早にそのシェルを出た。
タバコの交渉でも持ち掛けて懐を温めておけばよかったと後で気が付いた。
原則タバコ吸わないからなアイツら……









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