Eno.14 ヴィンテル  とある一人の妖精の話 -生活編- - たそがれの頂

前回のあらすじ。

手紙拾って人に手渡したら人を経由して自分の元に戻ってきて自分が行くことになった。

ヴィンテル
「……まさか、私がこの時期にたどり着くとはなあ」


そう、深い溜息を吐く妖精が一人。

彼は、ここの島に訪れ、説明を一通り受けていたが。
不安は別にあったようで。
周囲を探索しながら、思考に耽っている。

ヴィンテル
「……ユールの時期と被るんだよね、ここにいる時期。
 ……どうしようかな」


そう、彼の役目は、”ユール”が訪れる事を知らせ、ユールを迎えさせること。
ユールの文化などない土地で、どう立ち振る舞えばいいのか、少々悩んでいたようだ。



ヴィンテル
「……まあ、まさかユールの支度を呼びかけたら
 すぐに用意してくれるとは思わなかったけど


とりあえず役目を果たそうと、
行く先々で見かけた人々に呼びかけ。
ユールについて聞かれれば、微笑みながら答えていたようだが。

予想以上の速さで準備を終えた人が出て流石に驚きを隠せなかったようだ。

その事を思い出した妖精は、
ふ、と笑みを含む息を吐いて。

ヴィンテル
「……とりあえず、響には。
 この冬を耐えてくれると、いいな」



そう、静かに。寒そうな一人を思い出して。
また、探索へと、戻っていくのであった。








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