Eno.740 【背中を押す者】 懺悔Ⅱ - あざやかな花園
「貴方はきっと、私の行いを罪深いことだと泣かれるのでしょう。
そうわかっていても、後悔はありません」
「平和になった世界で、私の全てを貴方のために」
「そう願うことすら許さなかったから、
私はあれらを悪と断じて消費したのです」
「外に様々な世界があること。
貴方と同一人物としか思えない存在が、様々な世界で目撃されていること。
……貴方が必ず他者の手で命を落としていること。
世界を渡っているという者から聞いて、知っていました」
「だからこそ、できる限りの手を尽くして旅に出たのに!」
「活躍を妬んだ、旅にすら耐えられなかった者の手で、貴方は……」
「私の力を望んだ者に、私の唯一であり全てを奪われた」
「『僕にとって君は、この世界で最も輝いて見えるお星さまだよ』」
「眩しそうに目を細めて、私を見てくれた。
貴方だけが、私自身を見てくださった」
「私の導。私の神様」
「有象無象が私に救いを求めるように、
私にとって貴方の存在が救いだったのです」
「私の信仰は潰えました」
「けれどまだ他の世界に
「別人だとしても、
「私が世界を移動するための代償が、守った者全てだったとしても。
「神父様」
「貴方は逃げられましたか」
「どこかで平穏を得られましたか。幸福ですか。」
「貴方の星は見つかりましたか」
「貴方のその後を知ることすらできないのが残念でなりません」
「私のような罪深い者の祈りなど届かないとは思いますが……」
「神父様。貴方の未来と幸福がいつまでも続くよう、祈っています」