Eno.125 愛猫 マルルー  クジラが歌う - ひかりの森

マルルー
「あっ、やっと会えた!」


マルルー
「もうアレ使っちゃったの?
ふふ、しょうがないな。…でも久しぶり」


マルルー
「俺の命を懸けた嫌がらせ、傷になってくれた?」


マルルー
「まさかあんなのが出てくるなんてね、予想外だったよ。
君には大変な事をさせちゃったな」


 
「あれっ、もう目覚める時間?流石に早いなぁ」


 
「今度はもっと長く話したいなぁ、…またね」


君は忘れる。

マルルー
ちょっとジオ!今日の何!?


マルルー
あれだけ俺言ったよね!?危険に巻き込まれないように気を付けろって!


マルルー
「………心配してるのに忘れちゃうんだから。次は気をつけてよ


マルルー
浮気もしちゃ駄目だからね!!


君は忘れる。意味のない念押し。

マルルー
「やぁジオ、また会えたね」


マルルー
「ねえなんでボブって呼ばれてるの?
全然そんな顔じゃないのに!」


マルルー
「今でもジオって呼ぶのは俺だけになっちゃったかな?」


マルルー
「そうだったら特別だね」


君は忘れる。

マルルー
「今日はちょっと早いね、疲れた?」


マルルー
「まぁ最近ずっと頑張ってるんじゃない?
今だけ甘えても許されるよ」


マルルー
「今日は何しよっか?」


こんな日もあった。君は忘れる。

マルルー
「ジオはまだレオスとエヴァン覚えてる?」


マルルー
「流石に声とかは忘れちゃうよね、でもまだ覚えられてるね!」


マルルー
「忘れないでって呪いだよね」


君は忘れる。

マルルー
「もう何度目だろう、また会えて嬉しいよ」


マルルー
「死んでから気付いたんだけど結構暇なんだよね」


マルルー
「いや、虚無なわけじゃないんだ。
色々あるはずなのに足りないっていうか…」


マルルー
楽しくないってか……」


マルルー
………


あの姿のままの君に手を伸ばす。

マルルー
「君に会いたい…」


マルルー
「こんな曖昧な夢の中じゃなくて現実の君に。
君に傷をつけたくて頑張ったけれど、
俺も傷だらけなんだって気づくなんてね。そう、寂しいんだ」


マルルー
「死にたくないって初めて自覚した時から、ずっと」


君の腕の中に入る。

マルルー
「懐かしいよね、こうして匂いを付けた事もあったっけ。
最初は構図が酷いなって思ったけど慣れちゃったね」


マルルー
「夢だからあたたかさも分かんないや」


マルルー
「…ねぇ、もしも俺が生まれ変わったら何がいい?
姿とか種族とか色々さ」


マルルー
「え、細かい?だって転生の部署で書類とか出るかもしれないでしょ!
運転手さんの転生もちゃんと聞き取りしてたはずだし!」


マルルー
「いつになるか分からないけれど」


マルルー
「また君のものにしてくれる?」


マルルー
「赤い何かを目印にしたりするからさ」


マルルー
「や、今でもずっと君のものには変わらないけれど」


 
「あぁ、もう夢が覚めちゃう」



マルルー
「ジオ、」


マルルー
「──、」


マルルー
大好きだよ


君は、

 












いつか、どこかで。波が生まれて揺れる。








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