Eno.692 No-692  くくつとコーヒー - はじまりの場所

自分のこの島での記録は、大したことではないかもしれない
だけどこの島での記憶は……どこかでこの飲み物の香りを嗅ぐと思い出すんだろう。

説明を聞いた限り、花の力はここから出れば使えないようだ
それでも作った武器は、何もなかったままの最初よりマシだと思う。

この島での自分がどのくらいできるのか
この島の唯一の人がいるらしいという場所に最後にいくことにした。

https://soraniwa.428.st/sp/result/140863_692.html

ご飯の力もだいぶん借りたけど、勝てたならそれでいいと自分は考える。

小さいの……ランドラに服を引っ張られて、そろそろここから出ないといけないと教えられる。
そのためにシェルを操作しようとして……見つけた。

蓋をされた紙のカップ
まだ温かくて、蓋の開く部分を持ち上げると……いいにおいがした
自分はこれを知っている。
『はじまりの場所』の、上の階
窓辺でこれを飲んでいた、緑の髪のおにいさん。
自分にこういうものを送ってくれる人に、他に心当たりもない。

カップに、黒いペンで何か書かれている
ランドラに聞くと、「どら!」とこの手帳に書いてくれた。
この言葉は


中で揺れているのは、あの時のミルクと砂糖が入ったものじゃない、
濃くてこくて、黒みたいな茶色

……

No.692
「ニガい、でも
まずい、とはオモわない
 こういうのが、スきなヒト……」

No.692
「でもジブンは、まだたくさんはノめないアジ」

No.692
「……」

No.692
…… ……イマは、まだ


いつか、カップ一杯飲めるようになったら
また、目の前で作ってほしい。

この空の島じゃないかもしれないけど
いつか、また、どこかで。

そんな人が、これから生きていたら増えていくのかな
そうなら……頑張って、生きていく
他の誰でもない、自分だけのこれから。

「どら!」
くくつ
「……うん、ナマエ、カンガえないと
 ヨべないままは、よくない」

くくつ
「ツギはあのヒトのナマエも、キかないと」









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