Eno.579 ウロツチ 進んでいく土 - ひかりの森
進んでいく土
小人が歩いている。
細い腕を振ってずんずんと歩いている。
瞳に青空を映して、前を見すえながら。
その隣を、青い植物が歩いている。
短い足を動かしてとことこと歩いている。
そのうしろに、増殖した小人たちが連なっている。
時に踊りながら、気ままにぞろぞろとついて行く。
探して、戦って、食べて、増えて。
花咲く空の庭の冒険はひとくぎり。
小さきものたちは、新たな地に向けて旅立つ。
頭にきらり、冠のように。空色に輝く宝冠を載せて。
冒険グッズの貝殻の中には、小さなティーカップ。
風と陽と希望の花の花束や、自身の描かれた絵画。
自身をかたどったぬいぐるみに、聖樹のぬいぐるみ。
いいかんじの棒や、幻の森にそそぐ陽を貯めた鉱石。
さらに、食べきらずにとっておいた料理をお弁当に。
小人は進む。空の庭で得たものを、経験をかかえて。
冒険を覚えた土は、もう空を見上げるだけではない。
憧れた青色に辿り着く、その術を探す。探検する。
晴れ渡った空の下、どこまでも、どこまででも。
うろつく土と青い植物の新しい冒険に、乾杯!
できない。お供にはカップが無いため。
そんなこんなで、小人たちの冒険は続いてゆく。
ひとまず目先の目的は、お供用の食器の入手だ。