Eno.165 ゆきみ  幸せの在処 - たそがれの頂

まっすぐでない人のやさしさは、
言葉ではないところに現れるようです。

おじいさんも、そうでした。
どこかぶっきらぼうな言葉遣いで。
いつもしかめっ面をしていて。
いつ追い出されるのかと、ひやひやしたものです。

でも、そんな日は最後まで来なくて。
今際のきわに呟いた言葉は、ぼくの幸せのことで。
ぼくは、あの人のことがついぞ理解できませんでした。

この島に来るまでは。


はじめて広がった世界に、学べることは多くありました。
人のあたたかさに、たくさん触れて。
ぜんぜんちがう生き方があることを知って。
愛することで、愛されていたことに気づいて。

おじいさんと過ごした5年より、ずっと短い時間で。
ずいぶん、いろいろなことがあったものです。


…ぼくが愛した人は。
やっぱり、まっすぐではない人で。
そのやさしさと、不器用さは、
どこか、あの人に似ているようにも思いました。

だから、わかります。
あなたはだれかを、愛することができる人だと。
幸せを見つけることができる人だと。

だから、伝え続けます。
ぼくが見つけた幸せは、あなたのそばにいることだから。







"ずっと"一緒の契約やくそくは。
誓いの指輪と、羽にかけて。

めいっぱいの愛を、これからも、あなたに。








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