Eno.68 ユッカ・センチュリー 花園の花 - あざやかな花園
「行ってらっしゃい、みんな。」
ひとり、またひとりと其々の帰るところへ帰っていく。
あの子のぬくもりが微かに残る自分のシェルの一角。
おもわずその場に寝転がりあなたの温度を感じる。
普段からそんなに騒がしい場所では無いけれど、花園も随分静かになっちゃったわね。
「さて、まずはお茶会後の掃除をしましょうか。」
「帰ってくる場所だものね、綺麗にしておかなくちゃ。」
掃除をするその指には見覚えのある花の指輪がはめられている。
ここの掃除が終わったら川辺にも行かないとね。
いつあの子が帰ってきても良いように、お手入れしておかないと。
この花壇を笑って一緒に見られる。
そんなヒト達と出会えていますように。
「……いつでも帰ってきてもいいのよ。」
叶わないかも知れない願い事でも、願う時はあるのだ。
あの二人ももう出発したのかしらね。
ちょっと以外だったわ……まさかそういう関係になってたなんて。
聞いた時はちょっと嫉妬しちゃったけど、いつもの様子で接してくれて安心したのよね。
制服姿可愛かったなー……。
手伝ってくれて嬉しかったし、ハグもしてくれたし。
たまに立ち寄ってくれるって言ってたし、今から楽しみにしていのよね。
リュウゼツランは一生に1度だけ花をつけ。
そして花が落ちるとともに枯れてしまう。
でも大丈夫。
私はただのリュウゼツランじゃないんだもの。
でももう少しだけこの島とこの気持ちに気持ちの整理を付けさせてもらって
そうしたらあなたとお店をやって
そのあとに……ね。
私はその時まで枯れないわ。
だって、私を枯らすのはあなただもの。